Banana Recipes

漫画 BANANA FISH の2次創作ブログです。 BANANA FISH 好きの皆様と仲良くしていただければ嬉しいです♪一部BL・R18あります。ご注意を。

コメントありがとうございます!
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拍手以外の各記事にだいたコメントは各記事のコメント欄に返礼させていただいております。ご了承ください。m(*_ _)m



>まある様

まあるさん。こんばんわーv
アッシュ誕小説読んでくださってうれしいです。

「セツナクも素敵な」
ありがとうございますvv。ちょっとせつなすぎましたかね?
せつないながらもちょっとでも楽しんでいただけていたら嬉しいなぁ。

「暫くお休みされるのですね」
そうですね。しばらく小説書くのはお休みしようかなぁ。だなんで思います。
仕事しながら書くのってなかなか体力がいるんですよ・・。

「癒してくれる凄く大事な時間」
まぁ。そういっていただけると・・・。
そういう時間に私の小説を使っていただけたなんて本当にうれしいです。
私も仕事から帰って書いたり、仕事帰りにみなさまからのコメント読ませていただく時には、日中のストレスを忘れるくらい楽しい時間でありました。でも何分体力が・・・・。あと時間と。もっとあれば、滞りなくこのブログ続けていくことができるんですけどねぇ。

「うまく文章にできないけれど」
いえいえ。そのお気持が充分に伝わってきました!ありがとうございます!
まぁるさんを始め皆さまにそうコメントいただけると、”お。じゃぁ。また書き溜めて帰ってきて小説アップしてみるぞー。”という気分になります。^^。

「本当に大好きでした。」
私。今口説かれましたね(笑)
心のこもったコメントくださるまあるさんが私も大好きです!w

そうですね・・年内・・うーん年内・・・・うーん・・・。年明け2月くらい・・・・うーん。やっぱり小説アップは早いか遅いかいつになるかわからないですが、なるべく戻ってきたいと思いますので、その時はまたかまってやってください。v

それでは、暖かいコメントありがとうございました!まあるさんもたいへんそうなお仕事、ほどほどにやってくださいねvでわ~。
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『英二。』

アッシュに呼ばれた英二は窓際にいる彼の元へと足を運んだ。

『これであのビルに出入りする奴らを撮れ。』
英二が呼ばれた先では、三脚に設置されたカメラがすでに佇んでいた。アッシュはどこからその立派なカメラを手に入れたのだろうか。そのカメラには鼻がひどく長い望遠レンズが付けられていた。
あのビルとはコルシカマフィアのビルだ。この部屋に住む時にアッシュから英二は説明を受けていた。

『わかった。』
英二は神妙に頷いた。

『毎日撮るよ。』




*****




インタビュー。
写真家 エイジ・オクムラ その写真の魅力ー光と影ー


ーいつ頃から写真を撮り始めたのですか?

N.Y.に来た頃からです。19歳の時ですね。
当時カメラマンだった知り合いの人に助手として連れてきていただきました。でも名ばかりで。一眼レフもろくにさわったことがなかったです。その頃写真家になるつもりはまったくなかったんですよ。でもひょんなことからとある人に頼まれて、ほぼ毎日ファインダーを覗く生活が始まりました。あれが・・初めての仕事になるんでしょうか。その頃は写真を撮るくらいしかやることがなかった。それでも写真家になるつもりはまったくなかったんですけど。

ー写真家になろうと思ったきっかけはありますか?

はじめて僕にその仕事をくれた人が「写真家になればいい」と言ってくれて。軽い気持だったと思うんですけど。その人が・・亡くなってしまって初めて写真とちゃんと向き合うようになりました。

ーあなたのN.Y.の写真は、暖かい気持にさせてくれたり、逆に寂しい気持にさせてくれたり、こんなN.Y.もあったのかと、そのハっとする構図と色合いに定評がありますが、その人物の影響があるのでしょうか。

ただシャッターを切るのではなく、その先の感動を撮れと教えてくれたのは、僕をN.Y.に連れてきてくれたカメラマンですが。その感動が何かを教えてくれたのは、僕のその初めての依頼主です。たしかに影響はされています。その人がいろいろなN.Y.とたくさんの感動と感情を僕に教えてくれました。
僕がシャッターを切るときは、そこになんらかの”感動”を見つけた時ですが、たとえば小さな路地ひとつをカメラに収めるにしても、その感動が収められるように構図や色合いを気にしますね。それはあたり前の事かもしれませんが、写真で表現できるのはそれだけですので。僕の写真はスナップ写真が多いですが。スナップは瞬時にそれらを気にしながら撮るのでその時の感情がでやすいものだと思います。

ー今回の写真集は、数年前に開かれた初めての個展で展示した写真が多いとのことですね。その写真展の時も写真集のオファーがあったが断ったと聞きました。その時からすでに数冊出版されていますよね?どうして今回昔の写真を出そうと思ったのでしょうか。

最初の写真展の頃の僕は、周りがちゃんと見えていなくて。個展を始めるまでは自分が撮った写真も碌にちゃんと見ていなかったんだと思います。見たくなかったというか・・。数日で終わる個展ならともかく写真集なんてずっと手元に残るものは見たくなかったんです。でも個展が終了するころには自分の写真と向き合えるようになっていて・・。せっかくのオファーなのに勿体無いし新人なのにとんでもなく失礼なことをしたと後で後悔しました。
今回またこのお話をいただいて非常にうれしく思っています。

ー今後は何を撮っていきたいですか?

そうですね。人を。
先程も言いましたが、数年前の僕は周りが見えていなくて、ないものを探して写真を撮っていました。その探し物は僕のカメラ人生の原動力であり、やはり今からもそれを探してN.Y.を撮り続けたいとは思うのですが。
ですが、今後は周囲をしっかり見つめていきたい。
特に”今”を生きている人の確かさを。地に足のついた写真を撮りたいですね。



*****



「奥村さん!」
「あれ?あーちゃん?」

インタビューを終え、古びたビルの事務所を出てきた英二は暁に声をかけられた。長くなった黒髪を揺らしながら、彼女が小走りに英二の元へと駆けて来る。傍らにはシンがいる。今日はシンと飲む約束をしていた。だが2人で迎えに来るとは思っていなかった英二は少し驚く。目の前の2人は明日結婚式を上げる予定だ。シンはともかく暁はこんなところにいて大丈夫なのだろうか。シンが英二に向かって軽く肩をすくめた。そしてやれやれと暁に話掛ける。

「独身最後の男同士の飲み会だっていったろ?」
「だってシンだけズルい!私も独身最後に奥村さんに会いたいんだもん!」
「お前・・明日から自分の旦那になる男の前でその発言?」
「シンだって、奥村さんLOVEじゃん。暇があったらいっつも奥村さんと飲んで。」
「あーちゃんはやっと20歳になったばかりだろ?また今度飲みに連れて行ってあげるよ。」
「ホントに?」
暁の瞳が輝く。
そんな暁に英二が優しく笑った。
「シンがいいって言ったらね。シンと3人で。」
暁が上目遣いでシンを伺う。
「あー。わかったわかった。今度な今度。それよりお前、英二に言いたいことがあるとか言ってなかったか?」
やったぁ。と喜ぶ暁はシンの言葉にハタと気付き、英二の真正面に立って英二を見上げてこう言った。
「そうそう。私、奥村さんが初恋の人でした。だから独身最後にハグしてキスさせてください。できれば奥村さんからしてくれてもいいデス。」
シンが自分の額に指を当てる。
「暁・・お前は明日、俺と何をするんだ・・。」
「結婚!明日以降だと浮気になっちゃうでしょ?」
「恋人のままでも他の男にキスをねだるのは浮気って言わねーか?」
「ちっちゃ。ちっちゃい男だわー。何もデートしてくださいっていってんじゃないんだから。しかも隠れてやってないでしょ。」
「いっそバレないようにやってくれ。」
いつまでも続きそうな2人のじゃれ合いを遮るように英二が暁を呼んだ。
「あーちゃん。」
英二は目の前の暁の肩をゆっくりと抱き締めた。すぐに腕をほどいて暁の頬に軽くキスをする。

「これでいい?」

そう聞いた英二の顔はいつもより優しい笑顔だ。
「うん・・。」
英二を見上げた暁の頬はほんのりと染まっている。
「奥村さんやっぱりかっこいい・・。」
「あーちゃん。好い加減にしないとシンが怒るよ。」
「英二はお前なんかチンチクリンの事、歯牙にもかけてねーよ。」
「明日嫁になる女に向かってその発言?」

楽しみにしてなさいよ、明日絶対その言葉を撤回させてやるんだから!と叫ぶ暁を、シンはぜひそうしてくれと軽く躱しながら、タクシーを片手で止めて暁をその中に放り込んだ。男2人でそのタクシーを見送る。

「さて。飲みにいくか。」
「そうだね。」


*****




「暁を泣かすなよ。」

その英二の発言にシンは少し目を見開き、グラスを口から離して英二を見た。そんなシンの視線を気にもせず英二がグラスを片手ににこりと笑う。
「って伊部さんからの伝言。」
もちろん僕もそう思っているよ。と英二が読めない笑顔で付け加える。
2人はなじみのバーのカウンターで飲んでいた。2人でよく飲むこの店の主人ともすっかり顔なじみだ。明日シンが結婚することも知っている。本日の一杯目はマスターのおごりだった。

「・・・イベは今ソマリアだっけ?」
「そう。すっかり報道カメラマンだね。」
「もうジジイなんだから、落ちつきゃいいのにな。暁もいつも、心配してるぜ。」
「あーちゃんはおじさんっ子だからなぁ。」

実家の父との関係が上手くいっていなかった暁にとって、時折フラリと実家に現れて彼女を構ってくれるやさしい叔父さんはとても楽しく頼もしく見えたらしい。大学を留年してるなんてとてもじゃないけど言えないから秘密にしておいてくれ。と英二は伊部に頼まれていたが、暁は伊部の事なら意外になんでも知っていた。しかし、叔父である伊部はその事に気付いていない。

「伊部さんもあーちゃんをすごく可愛いがってるからねぇ。この間の国際電話で何度も君で大丈夫なのか聞いてきたよ。」
「いつまでも14の悪ガキのままってか?ちょっとは成長したって言ってやれよ。」
「言ったさ。身長が6フィート4インチになりましたよ。って。でも信じられないみたいで。あの頃の君は可愛かったからなぁ。」
「成長したのは身長だけかよ・・。」
今ではすっかり英二の身長を追い越したシンは、英二の言葉に口をへの字に曲げながらグラスに口をつけた。
「とにかく、泣かしたらアメリカまで殴りにくる勢いだよ。」
「伊部が殴りにねぇ。」
「伊部さんは怖くないと思ってる?」

「・・・怖いさ。俺が暁を泣かすとアイツが伊部にチクるだろ?そうすると伊部からお前に連絡がいくかもな。そしてお前は俺に文句を言いに来る。」
「僕なんか伊部さんより力ないよ。怖くないだろ?」
少しおどけてそういった英二に向けてシンは言葉を続けた。
「俺が怖いのはお前だ。お前以上に怖いものなんてない。」
真剣な目でシンは英二の瞳を見る。英二も視線を上げてシンの黒い瞳を見た。

「何かあったらいつでも俺を呼べ。」

「・・・明日結婚する30男が未だに結婚してない35の男に言うセリフじゃないよね?」

少し目を伏せながら言った英二にシンはカウンターの前を向きながら少し笑ってみせた。

「違いない。」




******



『・・何かあったら君を呼ぼうと思って。』

下手な言い訳だと英二にもわかっていた。アッシュを呼ぼうなどとは思っていなかった。

英二は先程までリンクスの溜まり場にいた。カウンターに並んで座るアッシュに、店の外からやってきたリンクスのメンバーの一人が何事かを耳打ちをする。
無表情でそれを聞いていたアッシュは、英二を挟んで逆側に座っていたアレックスと視線を交わした。そのアレックスは席を立ってどこかへと消える。そのあとアッシュはボーンズとコングを呼び寄せた。そして英二に、2人と一緒に先にアパートへ帰れと短く言った。どこへも寄るな。と。
だが、英二はその言葉を守らなかった。

店を出て10分と歩かないうちに、路地裏から怒鳴り声が聞こえた。振り向いた英二の先に見知った顔のリンクス達がいたのだ。数人の他グループに取り囲まれている。知り合いの2人のうち、1人は誰かに羽交い絞めにされ喉元にナイフを突きつけられていた。
英二は2人の元へと走った。ボーンズとコングの静止する声も聞かずに。結果英二は小競り合いに巻き込まれた。
そして英二にナイフが振り下ろされようとした瞬間。

銃声が聞こえ、相手の手が弾丸に打ち抜かれた。ナイフを振り上げられた手からそれが落とされる。

銃を撃ったのはアッシュだった。

英二は彼を振り返る。アッシュの揺ぎ無い瞳は、強い怒りを帯びていた。それは自らの拳銃で手を打ちいた相手に向けられたものなのか、それとも・・。
アッシュの後ろからリンクス達が飛び出て、他グループと乱闘が始まった。最初に捕まっていた2人はどうやら開放されたようだ。足早に英二の元にやってきたアッシュに腕を掴まれバカヤロウと怒鳴られた。どうしてそのまま帰らなかったんだと。

そして英二はきつい翠色に染まったそのアッシュの瞳から目をそらし、思ってもいない言い訳をしたのだ。

アッシュは英二に向かって忌々しげに舌打ちして、ボーンズたちに向けて英二の腕をぐいと押しやり、今度こそまっすぐ帰れと命令した。ボーンズ達は慌てて英二を促す。英二は素直にアッパーイーストにあるアパートメントまで帰った。
アッシュは深夜過ぎても帰ってこない。
あれから闘争に参加したであろうアッシュを思いながら彼を待つうちに英二はリビングのソファーで眠ってしまった・・・。

目が覚めると夜明けだった。

腕を組んだアッシュが大きな一枚ガラスに片側の肩をつけながら窓の外を眺めていた。
その窓の外には美しい朝焼けが広がっている。
少し前まで濃紺であった空が次第に白け、淡いピンク色に染まり、次第にオレンジ色へと変わっていく様は言葉では表すことができない程美しい。
その大きな大きな長方形の、蕩けるような色合いの中に佇むアッシュの姿は、まるで一枚の写真のようだと英二は思った。

知らぬ間に英二の肩に掛けられた薄い上掛けをゆっくりと剥ぎながら英二は身を起こし、静かに窓の外を眺めるアッシュへと近づく。

すると、アッシュが朝焼けから視線を動かさずに呟いた。

『英二。何かあってからじゃ遅いんだ。』

『・・ごめん。』

アッシュの雰囲気から彼の怒りはおさまっているようだった。ただ彼はそう謝った英二に向かって少し振り向き、片方の口の端を上げ、静かに笑って見せた。その静かな笑顔を英二は忘れられない。
その顔は・・とてもやるせない笑顔だった。



*****



「あれ?伊部さん?!」
「いやー!英ちゃん久しぶり!」
そこには黒スーツに白ネクタイの伊部がいた。ここはシンと暁の結婚式場のエントランスホール前の階段だった。仕事の関係でどうしても結婚式には出れないとくやしそうな声を出していた伊部と国際電話をしたのはつい数日前の事だ。どうやって都合をつけたのだろうか。きっと現場に残された彼のアシスタントは遠いソマリアで伊部に向かって盛大に文句を言っているに違いない。伊部は結婚式に出席するには疲労の伺える顔色とくたびれたスーツで英二の目の前に立っていた。
「・・伊部さん。中国では白いネクタイはお葬式にするんだそうですよ?」
「え?そうなの?アハハ。どうりでなんかジロジロ見られるなぁ。と思ってたよ。」
と伊部は慌ててネクタイをはずす。そして英二の姿をマジマジと眺めて呟いた。英二はポロシャツに、綿パンという軽装だ。
「もしかして・・。」
と言葉を続ける伊部に英二がうなずいて答えた。
「普段着でいいんですって。上着も脱ぎます?」
まったく、兄さんも教えてくれればいいのに、とブツブツいいながら伊部は上着を脱いで片手に持った。結婚式の服装という基本的な事を教えていなかった伊部の実兄夫婦はハナから伊部の出席を当てにしていなかったのだろう。暁もそうか。
そうして2人は並んで式場に入った。ほどなくして結婚式がはじまり新郎と新婦が入場してくる。

中国の真っ赤な花嫁衣裳に身を包み、読み上げられる結婚証明書を聞いている暁は、きのう英二を見上げてキスをせがんだ少女と思えない程美しく、そして隣の男への愛情に溢れていた。
ふとした時にお互いの目を合わせ微笑み合う2人の姿は、会場に出席している来客者全員の心を和ませる。
司会が結婚証明書を読み終わった後、2人はお互いの腕を絡めて誓いの杯をかわした。

そして来賓のスピーチが終わった後、新郎新婦が各テーブルを回る。
英二は、暁の親族のテーブルに座っていた。近しい親族のテーブルから回る挨拶周りは、すぐに順番が回ってきてた。新郎と新婦はそこで来客よりご祝儀を受け取って次のテーブルに回るのが中国風らしい。

伊部はというと終始グズグズと泣いていて、本当の暁の父親である伊部の兄に小声で叱られていた。他の参列者にあの人が父親だと間違われたくらいだ。

英二はそんな伊部を放って置いてー残念ながら英二にはどうすることもできなかったー席を立ち結婚式場の花や飾り、そして楽しそうに食べて飲んで談笑している人達をカメラの中に収めていく。

中国式の披露宴はおもしろい。司会の下スケジュールどおりに進められていく日本のそれとはちがい、なかなかざっくばらんで終始雑談がそこかしこでされておりにぎやかだ。しかもこれといったお開きの合図がなく、出席者は新郎新婦との挨拶が終わるといつ帰ってもいいようだ。

結婚式の一通りをカメラに収めた英二は満足して、そろそろ帰ろうかとシンを見た。

どこかの夫婦と楽しげに話していたはずのシンはそんな英二の視線に気付いて自ら英二に近寄ってきた。


「帰るのか?」
「うん。十分楽しんだよ。いい結婚式だった。」
「そうか。来てくれてありがとな。」
と言うシンの仰々しい赤い衣装を英二はもう一度上から下まで見直した。
「・・・なんだよ。にあわねーとか思ってんのかよ。」
いや・・似合うとは思う。が、普段のTシャツにGパンの彼を知っている英二としては、違和感が隠せない。当の本人であるシンもなにか思うところがあるのだろうか。今日は暁がかわいけりゃそれでいーんだよ。とブツブツ呟いた。
だが英二はもちろんそんなことは口にしなかった。今日何度目かの祝いの言葉を口にする。

「今日は本当におめでとう。」




****




その足で英二は本屋へと向かう。今日は英二の写真集の発売日だ。
本屋で予約してあった自分の写真集を買った。
紙袋に入れられたそれを小脇に抱えながらNYの通りを歩く。

英二は空を見上げた。雲ひとつない空。

少し歩くとすぐに汗ばんできた。英二はポロシャツの襟を片手の指先で少し緩める。
ハードカバーで作られているそれは結構な重さがあった。

写真集か・・。

そういえば・・と英二は思い出す。あの時はまさか本当に自分が写真集を出すとは思っていなかった。
英二は”彼”との会話に思いを馳せた。



*****

ーカシャッ。

英二はアッシュに向けてシャッターを切った。

『なんだ?』

ファインダーを覗く英二の表情が何かもの言いたげだったのだろうか。
彼は両手で持った新聞から視線を上げて、英二の目を真っ直ぐ見て英二に短く問いかけた。
英二は自分を見るアッシュの目が真っ直ぐでないのを見たことがない。だから英二は彼の瞳の色をとてもよく覚えている。
ファインダーから目を離しつつ、ソファーに座るアッシュに話しかけた。

『その・・。アレックス達から聞いたんだけど、』
怪訝そうにアッシュの眉が寄った。
『君、今日誕生日だったんだって?』
『ああ・・。』
なんだそんな事か、とたいした興味がないように彼が答えて新聞に視線を戻す。
自分の誕生日なのに。と英二は思う。
『ごめん。』
アッシュの眉が再び寄せられた。そしてもう一度英二を見る。
『・・・そこはおめでとうと言う所だぜ?少なくともアメリカではな。』
『アッシュ。僕は今、君に渡せるものは何もないんだけどー』

今と言わず、いつでもない。

この頃の英二には自分で稼いだお金がなかった。英二が使ってるお金はアッシュから渡されたマックスの偽名名義のクレジットカードだ。このカード社会のアメリカではコーヒー1杯分のお金を支払うにもクレジットカードで事足りる。このファミリーカードの中身ーつまりはお金だがーはどこから来たのか英二は追求したことがなかった。
どれくらい使っていいんだい?と最初に聞いた英二に、好きなだけ使え、とアッシュはカードを指先で器用にはじいて飛ばして英二に寄越した。
英二はどうやら好きなだけこのカードを好きなように使えるらしかった。
無駄遣いはしてないつもりだが・・・。だがコレでアッシュへのブレゼントを買うのは何か違う気がする。
口ごもる英二の言葉を遮るようにアッシュが言った。

『”シュッセバライ”でいいさ。』

ー出世払い。また変な日本語を・・。
伊部に聞いたのだろうか。しかも使い方が違う。だが英二はそこにはつっこまなった。

『僕が出世すると思ってくれてるんだ?』
『自信もてよ。写真家とか?なればいいじゃねぇか。』

ちぇ。名ばかりだって知ってるくせに。

『そうだね。じゃぁ将来自分の写真集がでたときは1ページ目に”アスラン・J・カーレンリースに捧ぐ” だなんていれて出版してもらうよ。』
『よせよ。恥ずかしい。』
アッシュは想像したのか新聞を持ったまま大げさに震えて見せた。もちろんワザとだろう。
そんなアッシュに英二は笑って提案する。
『でも出世するとは限らないから、せめて今晩君の好きなものを作るよ。なにがいい?』
『そうだな。なんでも。ナットウが出なけりゃ俺にはなんでもご馳走だ。』
アッシュがやはり興味がなさそうに新聞をめくる。

『じゃあハンバーガーにしよう。ダブルバーガー。チーズバーガー。 ベーコンバーガー・・・。』
『お前ー。』
『アッシュ。リクエストは?』

彼は降参したように新聞から手を離し、両手を上げた。

『・・エビとアボガドのサラダ。後はお前の良心に任せる。今日は俺の誕生日なんだろ?』
『まかせて!』
スーパーに行ってくると英二はカメラを机に置き、クレジットカードを片手にドアへと向かう。アッシュはまた新聞を読み始めた。
『あ。アッシュ。』
リビングのドアを開けながら、英二はアッシュを振り返った。

『誕生日おめでとう。』

アッシュは新聞から顔を上げず肩をすくめただけだった。




*****




英二は自分の写真集を小脇に抱えながらもう一度空を見上げた。抜けるような青空。

最近次から次へと昔の事を思い出す。

今日の空はあの時の空の色に似ている。アメリカで"跳んだ"のは後にも先にもあれだけだ。あの時はまだ春先にもなってなかったけど・・。

目的地へ到着した英二はその門をくぐる。真夏の太陽が緑の芝生に降り注ぐ。門の中は緑に溢れまるで公園のようだ。

いくつかのブロックを通り過ぎ、一度来ただけだが忘れられない場所へと迷わす歩いて行く。
一度目はマックスに無理やり連れて来られたのだ。現実をみろ。と。


目的の場所に着いた。そこは墓地の一角だった。


英二はそこでじっとしていた。

しばらくの後、手に持っていた写真集の表紙をめくる。その1ページ目にはお決まりの謝辞が載せられていた。

ーこの写真集を出版するにあたり、協力してくれた多くの方々、
快く写真を撮らせてくれた通りすがりの見知らぬ人達、
NYでの数年に渡る写真家生活を支えてくれた友人達、
写真集を出版するにあたり尽力してくれた編集者、
そしてこの出版の日に偶然にも結婚することとなった、家族同然の2人へ。
心からの感謝と尊敬をー

と捧げられていた。

そして英二はページをパラパラとめくっていく。そこには、あの日から英二の目を通した様々な顔を持つマンハッタンの写真が映し出されていた。

あっという間に最後までめくり終える。そして、その最後のページを綴じ目に添って丁寧に破った。
英二はその場にしゃがみ込み、辺りの小石を拾い、その紙切れをそっと目の前に置き、それが風で飛ばないように小石をその上に置く。
立ち上がり、足元の紙切れを見つめ、満足したように微笑み-その場を静かに去って行った。

英二が去ったそこは、小さな墓石の前だ。先ほど置かれた紙切れが小さな風にカサリとはためく。

その紙切れー写真集の最終ページーには、写真家の軽い履歴が書かれていた。そして本来なら作者本人のポートレートが載せられる箇所には、高い位置からみたマンハッタンの夕焼けの写真ーあるいはそれは朝焼けかもしれないーが載せられていた。その深みのあるグラデーションの色合いは見たものの印象に必ず残るだろうぐらい美しい。


そうして、誰もいない墓地に夏の暑さを紛らわせてくれるような涼やかな風が吹く。それほど強くないはずの小さな風が、小石で押さえられていたはずの紙切れを高く舞い上がらせた。


その最終ページの写真の下には出版日が小さな字で印刷されている。




published in August 12th 20XX




それはまるで空に吸い込まれるようにヒラリとひるがえる。真夏の太陽の逆光にその紙が透けた。




あの日と同じくらい青い空の中でー。











最後までこの小説にお付き合いくださりまことにありがとうございました。
いやー。アッシュ誕なのに淡々とした話で申し訳ないです。どれほどの人が最後まで読んでくれたのかなぁ・・。
この話は、私からアッシュへ、『アッシュがいない世界でもちゃんとやっていけるようになった英二』をプレゼント。ということで。
全然関係ないんですけどね。ちょっと前にですね。うちのブログの目次を見て、結構書いたな。としみじみと思いました。
私がバナナに再萌えしたのは、昨年の2月か3月でしたが、その時に原作のラストがとてもやるせなくて。そして”光の庭”の英二が寂しすぎて。収まらない気持を抱えたまま2人のサイドストーリーを求めてフラフラとネットの海を彷徨い。気付けばなぜだか自分でも小説書いてて・・・。書きながら皆様とコメントを交わすうちにどんどん自分の中のやるせなさやせつなさが納まってきました。すごく楽しかった1年弱。ありがとうございます^^。
みなさまもこれまでに様々なバナナ2次ストーリーを読んだことだろうと思います。
たくさんの2次創作をご覧になって気持ちは落ち着きましたでしょうか?
それとも今まさに盛り上がっているところでしょうか?
もっともっと見たいと思っているでしょうか?
それともわたしと同じくなかなか満足している方もいらっしゃるのかなぁ。
すぐにやめてしまうだろうと思っていたこのブログで皆さまの拍手やコメントに踊らされて(笑)私は今とても満足しています!
ってここまで書いたらコイツこのブログをヤメンノカ。と思われるかもしれませんが・・。

まぁ。ここから私が何か書いてアップするとしたらバナナ人生の余生ということで。

ご隠居生活を始めようとおもいまーす^^。

とりあえず隠居は寝ます。起きたらまたかまってやってくださいv。起きてくる気。ありますよ!

では。お決まりの文句で締めたいと思います。ここまで読んでくださって本当に本当にありがとうございました!

以前コッソリとアップしていた小説の再録デス。無修正。後書きも無修正でゴメンナサイm(_ _)m

「英二。紙とペンはどこだ。」
セントラルパークから帰って玄関ドアを閉めた途端、開口一番君が言った。

紙とペン?

2人でリビングへ行きつつ、電話の横に置いていたメモ帳とボールペンを彼に示した。
アッシュはメモ帳を手に取りサラサラと何かを書いた。メモ用紙を一枚破る。
そして僕の脇を通り過ぎながら一枚のメモ用紙を持っている手でぺシっと僕のおでこを叩いた。
「イタっ。何すんだよっ。」
おでこに貼るように付けられたメモ用紙はアッシュの手が離れると同時にヒラヒラと床に落ちる。
「俺はもう一度寝る。起きるまで起こすな。」
アッシュは僕を見ずに寝室へと歩いていく。
僕はメモ帳を拾って中身を見た。

これは・・。

寝室のドアを開けながらアッシュは僕を振り返った。
「そうそう。今度黙って出て行くときは、行き先をちゃんと書いて行ってね。オニィチャン。もちろん英語でな。」
言うだけ言って扉がパタンと閉められる。

ちくしょ~~。

僕は締められた寝室のドアに向かって顔をしかめて子供のように舌を出した。

アッシュが僕に寄越したメモ用紙には彼のちょっとクセのある、でも嫌味なくらい綺麗なわかりやすい大きな字で Jacqueline.Kennedy.Onassis Reservoir(ジャクリーヌ・ケネデイ・オナシス貯水池)と書かれていた。こんなのとても覚えられるもんか。でもその下に書かれているこの11時~11時30分 という時間はなんだ?

その時閉ざされたドアがまた開いて僕は慌てて舌をひっこめる。見られたかも。
「・・・その時間に○○チャンネルを見てみな。お前にぴったりの番組がやってるぜ。」
そしてまたドアが閉められた。

僕はその番組を見ない。絶対に見るもんか。と心に決める。
どうせ子供のための英語教育番組だろ!





皆様こんばんわ。
この話の元の話を覚えてないとまったくわからないおまけでしたが・・わ・・・わかりましたか?

元の話では、英二が電話で伊部さんから聞いた桜の見れる場所(Jacqueline.Kennedy.Onassis Reservoir)をメモ用紙に書こうとして、でも英語の綴りがわからず途中でカタカナのメモになってしまった。そのメモ用紙を手がかりにアッシュが英二を探し回る。っていう話でした。

ちなみに英二のメモはこんなカンジのメモになったんじゃないかと。
「JAKRIーヌケネディオナシスリザボア」

そしてアッシュはこれをみて、Jacqueline.Kennedy.Onassis Reservoir の頭文字かもしれないと気付いたかも。J.K.R のところですね。

もしくは英二の発音がrとlの区別がついてないし、kとcの区別もわからない事にも気付いてくれたかもしれません。ごめんなー。日本人は英語が苦手で。

なんて裏設定でした。
なんかこういう細かい事考えながら書くのが好きなんですよねー。でも細かすぎて小説には載せられないという。

細かい裏設定をつらつらとスミマセン。それでは最後までお付き合いしてくださってありがとうございましたー。


※この小説は再再録です。無修正。後書きも無修正でごめんなさいm(_ _)m
「Happy Halloween  パンプキン!パンプキン!」の続きになります。未読の方はそちらをお読みになってからこちらを読んだほうが楽しめるかもしれません。
英二のやさしさでかぼちゃを避けたハロウィンパーティーが59丁目で開かれています。それに遅れてやってきた、うちのブログの中では一番残念なキャラクターアレックス。それでは、どうぞー。





なんなんだ。一体!


俺ーアレックスーは、ボーンズ、コングと一緒に部屋を飛び出した。
飛び出してきた部屋はアッシュが現在住んでいる高級アパートメントの一室だ。
その日の俺は数々の誘いを断ってそのアパートメントにやってきたのに。
『今日はボスの所に呼ばれてるから。悪ぃな。』
俺を呼んだのはアッシュではなく本当は英二だ。
だが、人の誘いを断るのに「ボスに呼ばれている」これ以上の言い訳はない。
ダウンタウンのたまり場で誘う仲間や女達をかわしてここへ来た。アッシュの棲家は一部の仲間以外には知らせていない。そこに俺が行くと知ると女達の目の色が変わった。
『アッシュのところに行くの?ハロウィンパーティ?じゃぁ・・・。』
なんとかアッシュに取り入ろうとする女共が俺について来たがる。それを断るとみやげをもたせようとした。
『私からって絶対言ってね。』

言ったってアッシュは女の名前なんか覚えちゃいねぇ。

だが誘い文句を断る俺に女共は色々持たせたがった。ハロウィンの夜に俺を誘ったくせに、アッシュの名前を出すと途端に態度を変えんのかよ。と思っているうちに荷物がどんどん膨らんでいく。



俺はアッシュのアパートに遅れて到着した。
先に始まっていたパーティは、酒も進んでおり、それぞれがいい感じに出来上がっている。くだらない話で盛り上がっているようだ。アッシュもビールを口にしながらかなり機嫌がいいようにみえる。
見ればテーブルの上のご馳走は既にほとんどがなくなっていた。

よぉし。ここで俺様の出番だぜ。

皆の前で大きな紙袋から女達にもらった料理を一つづつ取り出してリビングのテーブルの上に置いていった。
もらった食い物(そのほとんどがパンプキンなんとかだ)の名前と俺にもたせた女の名前を律儀にも挙げながらー。
「これはキャシーからのパンプキンプディング!これはマーサからのパンプキンクッキー!・・・。」
食い物が次から次へと並べられ、いちいち喜ぶコング。微妙な顔つきになる英二。そしてボーンズはあたふたとジェスチャーで俺になにか訴えてるようだった。
黙り込んだボスの頬が徐々に引き攣っていくのに俺は気づかなかった。

最後の一つの料理。
ーそれは正真正銘”俺の彼女”からもらったやつだ。俺は彼女を信じている。愛してるぜ、ナンシー!ー
ハロウィンのカボチャの飾りも豪勢なパンプキンパイと俺のハニーの名前を一際高い声で紹介してテーブルに置こうとしたその時・・。

ボスが低い声で何かを呟いた。

「え?」
俺は聞き返した。
アッシュの怒号が部屋中に響き渡る。

「お前らそれ持って出ていけーーー!」

そして俺たち3人は慌ててアッシュの部屋を飛び出した。何も持たずに。
俺はどうしてボスの機嫌を損ねてしまったのかわからなかった。

アパートの外に出て少し落ち着いた俺にボーンズが声をかけてきた。
「あーあ。アレックス。ボスはかぼちゃが嫌いだんだぜ?」

先に言えよ・・。

だが俺はその言葉を言えなかった。クシャミがでたのだ。上着を部屋に置いたまま飛び出してしまった。秋の夜のマンハッタンは上着なしではもう寒い。両腕を手でさする。
「Bless you.」
2人からお決まりの言葉がかけられる。
だがその言い方は投げやりだ。酒と暖かい食事のある部屋を追い出されることになった原因である俺に冷たい視線が投げられる。俺だって愛しのハニーの手作りパンプキンパイを食べ損ねたんだぜ!とはとても言えない雰囲気だ。
しかたない。こいつらに一杯おごってやるか。

「待って!」
その時声がかけられた。英二だ。慌てて走ってきたのか少し息が上がっている。
「君たち戻ってきなよ。」
俺たちは盛大に首を横に振った。
機嫌の悪ぃアッシュの相手なんてできない。

英二はため息をついて手に持っていたものを差し出した。
俺達が部屋に置いてきてしまったそれぞれの上着と・・。
それは俺が持ってきた紙袋だった。
「これ。君の彼女からだろ?」
中には俺の彼女からもらったパンプキンパイが入っていた。俺の表情が途端に笑顔になったのが自分でもわかる。

「いいのか?よく覚えてたな!」

俺の彼女の名前を。

以前俺と彼女の壮大なラブストーリーを1時間くらいかけて聞かせてやったのを覚えていたんだろう。
まぁね。前に名前を聞いたからね。と英二が引きつった笑みを浮かべているのは気のせいか。
「本当に君たちもどってこないの?」
俺達は丁重に断った。
今日はもういいから明日のリンクスの集まりまでにアッシュの機嫌を取っておいてくれ。と。
「まったく。本当だね。アッシュにはよく言っておくよ。かぼちゃくらいで不機嫌になるなってね!」

やめてくれー。

俺はそう思った。ボーンズとコングもそう思ってるはずだ。
英二は本当にいいやつだが、天然だ。ボスの機嫌も考えずにボスに意見する。
最たるものは寝ているボスを恐れずに頭をたたいて起こすことだ。
ボスは英二には何も文句を言わないが、不機嫌を隠さず俺達にあたるんだ。勘弁してくれ。
だが目の前の英二は本当に俺たちのためにアッシュに意見しなければと憤慨しているようだ。こいつは本当にいいやつだ。だが・・

『かぼちゃくらいで不機嫌になるな』

そんな空気を読めない事を言えるのは英二だけだろう。
その言葉を受けてコングが英二に言葉を返した。
「まったくだな。よろしく頼むぜ英二。」

お前もかーー!

怖いもの知らずのこいつらの会話を聞いているとおかしくなる。ボスの機嫌の良し悪しで明日のリンクスの被害状況が決まるのだ。いや。一番の被害を被るのはナンバー2であるこの俺だ。ここは一つ英二にキチンと言っておかねば。俺の横でボーンズがチラリと俺をみた。期待しているのか。俺が英二にガツンと言うことを。これ以上ボスの機嫌を悪くしないでくれと英二に言うことを。よし。俺は言ってやるぜ!

「英二。あのな・・」
「何?」
背の低い英二が俺を見上げた。
その目は俺が知っているアジア人の中では大きくアーモンド型の黒い目をしている。街頭の明かりに少し反射したその瞳は俺に懐いていた犬を思い起こさせた。
何かを期待して俺を見上げる子犬。

「・・・明日の会合は昼前だ。ボスを遅れさせないでくれ」
「任せて!」
英二が満面の笑みで得意気に答えた。
ボーンズが上を向きため息を吐いた。
コングは、さすが英二だな!とズレた事を言っている。
「・・・行くぞ」

なんか疲れた。

俺達はじゃぁなと言ってその場を去った。
英二はアパートに帰ったようだ。
「へっくしょん!」
俺はまたくしゃみをした。
深夜の冷え込みが体に染みる。でも俺には彼女からもらったパンプキンパイがある。
帰ってから一人で食うか・・。

来年は誰に誘われても絶対彼女と2人でパーティーだ。

俺は来年の事を思い浮かべながら、ボーンズ達と別れて家路についたのだった。



<おしまい。>




最後まで読んでくださってありがとうございます^^。
まとまりがなくてすみませんでした。
アレックスが持ってきたパンプキン料理なのになんで残りの2人も追い出されるのかという事は華麗にスルーしてください(笑)
それでは本当にありがとうございました~。

ここから再録後書き。
やっぱり最後まで読んでくださってありがとうございます!
この話があって、バレンタインのアレックスの話があるんですが、まぁ、全然対した伏線でもないのでバレンタインの話も単品で確実に読めます。この話は、アレックス、彼女とラブラブの頃(笑)
私の話は今の所、時系列でなんとなーく一本の同じ流れで進んでいるようです。(アップするのは時代を前後してますが)そんなにちゃんとしたこと考えてないし、適当にやってるのですが、なんとなくあっちに使った話の伏線をこっちにも使って書いてたりします。んー。使いまわしてるとか言いますかね?(笑)
再録リクエストありがとうございました。初読の方も再読(いれば)の方も楽しんでいただけましたでしょうか?
この話もいつかは表にリンクしますが、それまではこちらでコッソリお楽しみください。
それでは本当にありがとうございました~。
再アップです。無修正。後書きも無修正でごめんなさい。

※この小説は「Valentine day kiss アレックスの場合。」の後、2人が部屋に戻ってからの話です。まだアレックスの賭けの内容にこだわる英二(笑)。それではどうぞ~。^^



「ところで君。どれくらい勝ったの?」

もう遅いからミートソース缶とパスタでいいよね。
と英二はあれから2人分の夜食を手早く用意した。
そして食卓に置いた湯気の出るそれを2人で食べながら英二はアッシュに質問をした。
アッシュは少し黙ってビールを口にしながら英二に聞き返す。
「どれくらい勝ったと思う?」
「さあ・・何人くらい賭けてたんだろ?」
英二はクルクルとフォークに巻いたパスタを持ち上げながら少し首を傾げる。
「アイツは人気者だからな。何人かはしらねぇけど、100ドル以上集まったって聞いたぜ?」
「100ドル!てことは君の取り分はボーンズと半分で50ドル?」
2人しか勝たなかったんだよね?すごいや!と英二が驚く。
「違うな。5ドルあるかないかくらいなんじゃねぇ?」
「・・・・・なんで?」
英二のフォークを持つ手はすっかりと止まっていた。
早く食わないと冷めるぜ、とアッシュはチラリとそれに目をやりながら自分は食べる手を止めずに英二に話を続ける。
「ボーンズは10ドルくらい賭けてたらしいぜ。俺は50セント。賭け比率の問題だな。」
50セント。どうしてそれっぽっち・・と表情に出だした英二にアッシュは肩をすくめてみせた。
「あの時ポケットにそれしかなかったのさ。」
ほんとなのかい?と英二はアッシュをいぶかしげに眺める。そしてふと何かに気付いた。
「あれ?それじゃ、今日リンクス達の飲み代に全然足りないんじゃないの?」
「オレは言ったぜ?アシが出た分は自分たちで出せってな。」
「・・・・それって後から文句言われない?」
「言いに来ればいいさ。」

そしてアッシュは軽く片方の口角を上げニッと笑った。

「言えればな。」

「・・・・・・・・・・・・。」

「ゴチソウサマ。風呂入って寝る。なんか疲れた。」

食事を終えたアッシュはガタンと椅子を引いて立ち上がった。バスルームへと消えていく。
食卓に残された英二はすっかり冷めて少し固まったパスタを絡めとろうとフォークを不器用に回す。

アッシュに文句・・。

アッシュのおごりだと思ったリンクス達は今晩盛大に飲んだだろう。いざ会計という話になったときどんな騒動が起こるのだろうか。英二は少し考え、なんだか怖くなったので考えるのをやめた。




ーその頃、リンクスのたまり場のバーでは。


「じゃぁ。オレ帰るわ。」「オレも」「そろそろ」
「ちょ・・っ。お前ら金払って帰れよ!」
「お疲れ。ボーンズ。また明日」「勝った金。いらなかったらいつでも俺が使ってやるぜ?」
「待てって!・・お前ら・」
「ボーンズ。ボスの金から払っとけよ。」「じゃぁな。」
他人の金で飲んで食べたリンクス達は満足して、ボーンズの肩や頭を軽く叩きながら彼をすり抜けてドアの外に出て行く。
「お前ら待てよ!足りない分は自分達で払えってボスが言ってたろ?!」
ボーンズをすり抜けるリンクス達の中で一人のリンクスが振り向いた。

「それはオマエが払ってくれるんだろ?」

ーーーーーーーそんなことは言ってねぇ!

と吼えたところで状況は変わらないことをボーンズは知っていた。アッシュやアレックスと違って自分はリンクスを一喝できる力がない。
リンクス達が出て行ったドアがバタンと閉じられた。
ボーンズはため息を吐く。

アッシュはこうなることがわかってたハズだ。絶対。

チクショーーーーーー!!!

明日、あのアパートに行ったらボスに一言文句を言ってやる!

・・・言えるわけがねぇ・・・。

欠けた前歯に舌をやりながら、肩を落としたボーンズであった。





<おしまい。>







以下おまけのおまけ。


肩を落としながらマスターに会計をしているボーンズにリンクス最後の1人であるコングが話しかけた。
「あー食った食った。今日はたくさん食えてよかった。ボスのおごりでよかったなボーンズ。」
「オマエ・・。自分の分は自分で払え。」
「なんでだよ。ボスのおごりって、」
「自分で払え!」






いつもコッソリまでクリックしていただいている数名の方本当にありがとうございます。
しかも今回の休眠はコッソリも更新できなかったのに。本当にありがたいです。(涙)
日ごろのご愛顧(笑)への感謝を込めて。
アレックス話のオマケ小説でございます。ちょっとでも楽しんでくださればいいなぁ。

そういえば、前回のせたコッソリ小説もアレックスだったなぁ。(今回アレックスは登場していないけど)
日の目を見ない残念なNo.2.それがアレックス。

そうか。前回のアレックス小説は記事とともに消しちゃったから、コッソリにも載せてないのか。こちらに来てくださって読んでない方いらっしゃいますか?読みたい方がいらっしゃったらコメントいただければ、コッソリコーナーに堂々と再アップします。(コッソリなのか堂々なのかもはやわからない。)

いつかは表にもリンクすると思いますが、それまでコッソリお楽しみください。

でわ~。
コメントありがとうございます!
8/2以前の拍手コメント返礼は、この記事の一番下の「次ページ>>」ボタンからお戻りください。m(*_ _)m
拍手以外の各記事にだいたコメントは各記事のコメント欄に返礼させていただいております。ご了承ください。m(*_ _)m






★>文月絵魚様
「小葉様、おつかれさま~♪」
ほんと疲れました~><

「最期にもう一押しと思ったら、もう日付変わってた」
そうそう。即効下げました。英二のピョコピョコ動画。
かわいがってやってくださってありがとうございました!

「フライングで日付が1日の内ににやっちゃおう」
ああ・・だからめっちゃ早かったんですね(笑)
00:01て。
むむ。おぬしやるな。とか思いました。
でも早くて助かりました^^。マジで。
もー早く寝たかったのでw。

「後日ゆっくり、みなさまの回ろうと思います~」
たくさんあってうれしい悲鳴ですよね。ゆっくり回って堪能してください。

「ちやほや1万越え!愛されてるねぇ~♪」
本当に!すっごい愛されててびっくりしました!
なんだ英二スキーっていっぱいいたんだなぁ。って。

それではうれしいコメントありがとうございました!





★>ミチル様
「『英二の日』お疲れ様でした。」
ありがとうございます。ほんと疲れました。ちょっと長いけど聞いてくれますか。

「きっと過去にもこういう企画ものを計画されて」
そうですね・・覚えてないような小さいものからまだ残骸が残る大きいものまでいくつぐらいだろう・・。
大きいものは3つ目ですかね。でもなんていうんですかね。大きいものは企画して最初のお誘い画面をつくったら放りっぱなしで私がいなくても回っていくようなものばかり作ってましたので、今回もそのはずだったんですが、うっかり調子に乗って毎日バナーとか作っちゃったものですから、あれがマズかったですね。(すっごい楽しかったんですけど体力が。)
あと、うちのTB機能が使えなかったのが大誤算でした。TBさえあれば、記事内にリンク張らなくていいからその分の時間が減ったのに。
そういえば、このブログ立ち上げの時にレイアウト等をいじったんですが、その時なんかやっちゃったような気がする・・・。TB機能使えたら僭越ながら使用方法をご存知ない方にご教授させていただいてでもTB企画にしたかった。(自分が楽するために)はぁ~。

「素晴らしい企画力、牽引力でした。」
なんつーうれしいお言葉。牽引力はもう。ただ皆さまが必死について来てくださった(笑)のだと思います。が。まぁ。日替わりバナーも一役買ったかなぁ。と思います^^。あと管理人様のご好意ですね(しみじみ)。ミチルさんをはじめ本当にありがたく思っています。企画力は・・・上記に書いたように・・・ちょっと。
職場で新人の頃、先輩が、『企画は準備が9割実行が1割だ』覚えておけ。とおっしゃったことをプライベートで噛み締めたりしなかったり・・。いきあたりばったりにもほどがあったと一人反省会。ですから無事終わってほっとしました。

「アッシュの「8月12はアッシュの日」が一番笑いました。」ありがとうございます(笑)もうあのころ拗ねアッシュを出すのも、しつこいしうっとうしいかな。と思って。アッシュの日バナーは最後の最後で出そうかと思ってたんですけど、早めに作って出しました。結果よかった。最終日は体力なくてそんなの作ってる気力もなかった。

「 英二ファンの私にはサイコーのプレゼントでした。」
もうその言葉が一番うれしいです!ありがとうございます!やってよかったと心から思えます。^^。
少ない英二スキー様方とホソボソとやってみようと思った企画なんですけど。結構大きくなってうれしい大誤算でした。(体力と気力を持っていかれたけど)
てかどれくらいいるんだろうなぁ。英二スキー・・・。

ま。なんやかんやで、企画を立てて皆様と一緒に遊んでもらうのが好きなんですよ。私。今までにないくらい楽しい時間を皆さまと過ごせて疲れた分すっごい楽しさを回収できたと思います。ミチルさんも最後までお付き合いくださってありがとうございました!

ああそれと。今度から私の事、コヅチ小葉。って2つ名で呼んでください。もー。ミチルさん。前夜の入浴中に考えたとか。ないですよ!(苦笑)でもお誘いくださってうれしかったです^^。
でわ。

英二の日企画はひっそりと英二の日同盟に以降しました。興味のある方はコチラをチェキラ!

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コメントくださった皆さまありがとうございます!この企画中返コメ不要と書かれたコメントにはお言葉に甘えて返コメいたしませんでした。うれしく読ませていただきました。本当にありがとうございました!

というわけでー。
みなさまと一緒に盛り上がった「英二の日。」もとうとう無事終わりを迎えることができました。
これまで英二をちやほやしてくださった方々本当にありがとうございました!
なんと、最後に管理人がクリックした時点で10351ものちやほやをいただけておりました!
日に日に回っていくちやほやカウンターにわたしのテンションも上がりっぱなしでした。

まさか・・1万を超えるとは・・・。

本当にありがとうございました(感涙)

そして、一緒になって英二の日を盛り上げてくださった管理人様。お忙しい中本当にありがとうございました。

感謝しても感謝しきれません・・。




i-eijiallmini.gif以下『英二の日。』ご参加サイト様i-ashallmini.gif
(*順番は参加表明コメント等の入力時間順です。敬称略。)

BANANA ☆ Junkieちやほやページはコチラ

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キイロな魚と黒犬 ちやほやページはコチラ

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罪つくりちやほやページはコチラコチラ

Banana Recipes ちやほや小説はこのページの一番下。デス。よろしければ、読んでやってくださいv




「英二の日。」企画は終了しましたが、同盟にしようと思います。(多分)
あらためてひっそりと、「英二の日カテゴリ」に新ページを作りますので(あんまり代わり映えしないですけど)
同盟にご参加してやってもいいぞという場合はまたあらためて新リンク先を貼ってやってくださいませv。
でもできるかどうかわかんないけど・・・。
バナーはバナーで使いまわそうと思いますけど、同盟って言ったらやっぱり正方形の小さいアイコンですよね。
あんな小さいところに・・どうすっかなー。

(2014.05.02追記:英二の日同盟ページ作りました。アイコンつくるの諦めました。同盟はコチラ )

それでは。この企画を初めてから19日間。

英二ちやほやバナーを
「上から順番に」クリックしてくださった方。
「アッシュを朝起こすのは、もううんざりなんだよバナー」からクリックしてくださった方、
「納豆は体にいいんだよ?バナー」だけはクリックしなかった方、
英二のぴょこぴょこ動画のページでひたすら「更新ボタンだけ」をクリックした方(←絶対いるでしょ?=私。)
各キリ番を踏んでくださった方、(1000とか2000とか1111とか8282とか。管理人はなぜだか、101とか、2001とか、5001とか、前後賞でした・・。)
その他、ご賛同・ご参加してくださったすべての方に。

心からのお礼と・・・。


来年もよろしくお願いしますv


企画はやらないと思いますけど、心の中で!(管理人様は一言だけでも)

それでは本当にありがとうございました~。





i-eijiallmini.gif以下、当ブログの企画小説。i-ashallmini.gif
「英二の日まで6日前記念。」ちやほや小説その①7/27更新。
『-your kiss-』
マオ様(by臆病ライオン)のちやほや絵に乗っからせていただきました!要はマオ様の絵に萌えたワタクシが小説を送りつけたら公開をこころよく承諾してくださった。おやさしい・・・。本当にありがとうございました!マオ様の絵を見てから小説を読んでくださいね!(小説内にリンク貼らせていただいております。)7/27更新。

「英二の日までアト2、3日記念」ちやほや小説その②7/30更新。
『Recipes ある英二の一日。』
はー。なんかもう急いで書いたからあちこちボロだらけ。内容は英二の淡々とした日常?しかも英二がちやほやされてない。英二がよろこんでないし・・。全体的に地味な話です。そんなんでよかったら読んでやってください~。7/30更新。

「本日本番!英二の日!!」ちやほや小説その③8/2更新。
『Bright starry night キミが見せた星空』
本番とか言っても再録・・。他の企画で作って企画終了と同時に下げていた”英二お誕生日小説”。その節は皆さまありがとうございました。
あの企画にいただいたコメントはいまでも宝物でございます^^。
ちょっと落ち着いたカンジの内容です。それでもよかったら読んでやってください♪





コメントありがとうございます!
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★>ちょこぱんだ様
「英二の日」おめでとうございますィ━━━d(`・∀・)b━━━ィ!!!
ありがとうございまーーーーす!

ちょこぱんださんに聞いてみたい。連打は最高何回したんですか???
絶対よくカウンター回ったときはちょこぱんださんの仕業だと思ってるんですよねー。
私は15回が限度でした。連打はね。

「同志英二スキーの存在に感激」
結構いたんですねー。今までの肩身の狭さなんだったんでしょーねー(苦笑)

「何より英ちゃんの愛おしさに感動しています。」
どちらの企画の英二も本当にステキで、愛を感じております。
企画してよかったー。

ちょこぱんださんも連日(ですよね?)企画にご参加ありがとうございました!
そして色々お忙しい中のコメント本当にありがとうございました!









★>まゆまゆ様
英二の日の当日に拍手コメントありがとうございました!

「英二スキ-な私としては嬉しくて しかたありません(*´ω`*)」
そうコメントいただけるとすごいうれしいです♪
英二スキー様によろこんでいただけたらなぁ。と思ってましたので。
でもこれ。アッシュスキー様も一緒に楽しんでくださってるのかなぁ。でないとカウンターがここまで回らないですよね・・・。

『ハニ-の日』
(笑)笑ってしまいまいました(笑)
英二がハニーなのですね。超かわいいですv♪

それではうれしいコメントありがとうございました!
小葉さんお誕生日オメデトウ企画小説。の再録です。ちょこっと加筆とか訂正とかしました。あの時ご参加したくださった皆様。まことにありがとうございました!そして今回の企画にご賛同してくださった方々本当にありがとうございますv





ー『キミが見せた星空。』ー




「お前。今日誕生日だろ。」

と、ビール缶に口をつけながら、アッシュが言った。

フォークに刺した肉を口に運んでいた僕の手が一瞬止まる。

今、僕達はアッパーイーストにある高級アパートメントの一室にいる。その大きなリビングルームの大きな一枚ガラスの窓際に設置した小さなテーブルで、向かい合って夕食を食べていた。
窓から見えるマンハッタンの夜景が綺麗だ。
テーブルの上には僕が作った料理が並んでいる。
僕はそれほど料理の腕がいいわけじゃない。なので、おのずと作れる料理が決まってくる。
今日の晩御飯は肉を焼いたものと、サラダとスープだ。
失敗しないし、間違いがない。
だが、多少失敗してもアッシュはいつも残さず食べてくれる。
アッシュ独特の嫌味の一つや二つは絶えなければいけないけど・・。

僕は遠くの壁にかけられたカレンダーを見るために目をすがめる。今日はたしかに・・。

「そうみたいだね。」
アッシュから目を逸らし、肉をもぐもぐと頬張りながら、もごもごと答えた。
「自分の誕生日を忘れていたのか?」

僕はバツが悪くなる。
正直忘れていた。いや。数日前までは覚えていたんだ。
NYに来てもう2年か。とか。2年もたったら大学の友達は自分を忘れてるんじゃないのか。とか。
ふと思い出しては、誕生日まであと何日か。とは思ってはいた。だけど、肝心の誕生日の当日である今日にはすっかりそんな事は頭になかった。

「このアパートにいると日付を気にしなくなっちゃってね。」

アハハと僕はごまかすように笑って見せる。
僕はほぼこのアパートから出なかった。必然的に日付の感覚がおかしくなる。
一人で出るなとアッシュに言われている。一人じゃなければいいのだろうが、じゃぁ誰と、と考えるとボーンズとコングになる。どうしても。
そして、彼らもあまり積極的には僕を外に出したくないようだった。何かあったら困るからだろう。そんな2人に毎回毎回外出に付き合って欲しいとは頼みづらい。

「というか。君なんで僕の誕生日を知ってるんだい?」

アッシュは少し片方の口角を上げた。
「トシヨリは周りが気をつけてねーと、自分が誰かも忘れちまうからな。」
アッシュ特有の言い回しに僕は少しムッとする。そして黙ってビール缶に口をつけた。どうして君はいちいち口が悪いんだ。
そんな会話をしている内に僕達は食事を終えた。
アッシュはガタリと椅子を引いて立ち上がる。
「外に行く。」
こんな夜にまたどこへ。と僕の眉が曇った。
「行くぞ。」

は?

僕は反応が遅れた。
「早く準備しろよ。」
僕も行くってことかい?

僕は慌てて立ち上がった。




*******





そして、僕らは夜のマンハッタンへ足を踏み出した。夜のN.Y.は慣れない者にとって危険な場所が多い。だけどアッシュは危なげなく僕の目の前を歩いていた。僕の歩調より少し早いきみのそれに僕は遅れないようについて行く。
連れて行かれたところはグランドセントラルだった。アメリカの大動脈である幹線の東を統べる巨大な駅。
電車に乗るのかい?と尋ねた僕に、いいからこっちへ来いよ。と促してアッシュは駅の中に入って行く。
僕はこの有名な大きな駅に来たのは初めてだった。
「上。見てみろよ。」

うわぁ。

そこには星があった。いや。正確には星座が絵描かれていた。
見上げた僕の口はポカンと開いた。すっごいキレイだ。
水色に緑を少しまぜたような。なんとも言えない深みのある、だがキレイな空色に、かがやく星座たち。
旅路に、家路に、行き急ぐ大勢の人が行きかう大きな駅の大きなホール。その頭上に広がるそれらに、僕はただただ感嘆する。

でも僕は何か違和感を感じた。
この星座は逆に描かれてないか?と首を捻る。

そんな僕の傍らでアッシュがこの駅の説明をした。

1871年に建てられた事、その時に鏡を見ながら絵描かれたからこの星座が逆になっている事、1966年には壊されそうになった事、だけど・・・。
「その時、有志が反対したんだ。お前の大好きなジャクリーヌ・ケネディ・オナシスもな。」

まだ言うか。以前僕が彼女のスペルを書けなかった事をアッシュが皮肉る。まだ書けないけど・・。

そして、アッシュは僕を駅の壁の一角まで連れて行った。「その壁を見てろ。」と言って僕の元を去る。僕は壁を見た。なんともない只の壁。

こんな壁に向かい合ってジッと見てるなんて僕はまるで馬鹿みたいに周りから見えるんじゃないのか。と思ってアッシュを振り向く。すると構内を挟んだ向こう側の壁を同じように見ていたアッシュが、振り向いた僕に気付きーなんでわかるんだ?-いいから壁を見ろとジェスチャーをした。
僕はしぶしぶ壁を向く。すると。

”英二”

「わっ」

アッシュの声がした。びっくりした僕はもう一度アッシュを振り向く。アッシュはやっぱり離れた場所で壁を見ていた。

え・・なんで・・。

僕は壁とアッシュを交互に見た。
そしてまた壁を見る。

”英二。聞こえるか?”
「聞こえるけど・・。なんで?」

まるで糸のない糸電話だ。と僕は思う。

ここはそういうところなんだ。とアッシュは僕に説明した。知りたいなら後で理屈を教えてやるよ。と。
別に知りたくないけど。と思っているとアッシュが僕に質問した。

”お前の星座は見えたか?”

僕の星座?

「見えたけど・・?」

アッシュが言っているのは先ほどまで見上げていた天井の星座の絵の事だろう。そこには僕の誕生月の星座もあった。
その時僕はハタと気付いた。

数夜前ー。いつもよりアッシュにお酒をすすめられて、僕は気分良く酔っ払っていた。その時なぜだか話が「日本の懐かしいもの」になったんだ。

アルコールの回った頭で僕は考える。
家族とか友達とか・・・・棒高跳びだとか・・・・・。
僕はそんな答えを口にしなかった。代わりにそれ以外のいろんな事を並べ立てる。

そうだね。桜は以前セントラルパークで君と見たから、季節のものというと、花火かなぁ。とか。ソーメンかなぁ。とか。秋になると紅葉かなぁ。メイプルリーフの小さいのだよ。日本のはなんでも小さいんだ。だから僕も君達より小さいんだ!とか。そしたらやっぱり紅葉饅頭かなぁ。とか。冬はどうだろ。雪はこっちでも降るし年末になるとコタツかなぁ。とか。そしたらやっぱりみかんだな。オレンジの小さいのだよ。日本のはなんでも小さいんだ!『だからお前は小せぇんだろ。』と君が言ったので。そうさ。よくわかっているじゃないかと僕は素直にうなずいた。

わかってるかわかってないのか君はほぼ黙って聞いていた。そして、

『もっと日常のものでなんかないのか?』

と僕に尋ねる。

日常・・。

今言ったことは僕にとっては日常だけど、たしかにNYでは日常ではないか。でも日本の懐かしいものを聞いたのは君なのに・・。

酔いが回った僕の目はもうほぼ閉じていたような気がする。同じ量を飲んでいるアッシュはまだ酔っているそぶりもないのに。
『そうだね・・・。僕は田舎で育ったんだ。このアパートからみる夜景はきれいだけど・・。』
夜のNYはビルや街頭の灯りで充分明るい。そして大気が淀んでいる。
晴れた日でもあまり星がみえない。まったく見えないわけじゃないけど。

僕は完全に目を閉じた。瞼の裏には故郷の星空が広がった。

『僕は星の事をあまり知らないけど、自分の星座だけはわかるんだ。でもここでそれは見えない・・。部活からの帰り道、自分の星座を見るともなしに見て帰ったんだ。それが・・見えないかなぁ・・。』
と言いながら眠ってしまったのを思い出した。

アッシュはそれを覚えていたのだろう。

僕はアッシュを振り返る。
振り返った僕は、やっぱりこちらを見ていたアッシュと目が合った。
アッシュは意味ありげに少し笑い、また壁を向いた。
だから僕も慌ててもう一度壁を向く。
アッシュの声が耳元で聞こえる。まるでやっぱりそこにいるみたいだ。


”お誕生日オメデトウ。”



「・・・・・ありがとう。」



僕たちはまたお互いに向かい合った。
僕は少し照れてしまって、アッシュに向かってはにかんだ。
行き交う人をよけながら、君がゆっくりと僕の元へ歩いてくる。
僕は動かずにアッシュを待った。



そして僕はもう一度星空を見上げる。

NYで煌く僕の星座を。




ーfinー




最後まで読んでくださってありがとうございます!
アッシュの誕生日SSは数あれど、英二のはあんまりみないなぁと思って。この小説を自分の誕生日にかこつけて書きました。
すると英二スキー様方から「英二誕の小説はめずらしいからうれしい。」とコメントをいただいて、
お?喜んでいただけた。でも、んー。やっぱりそうだよなぁ。めずらしいんだよなぁ。英二の誕生日がわかんないからだよなぁ。
と思って「英二の日」を考えてみました。
英二の日にご参加してくださったすべての方々。そして、この小説を読んでくださった方。本当にありがとうございます!

ちなみにグランドセントラルには本当にこういう場所があるそうです。NYに行ったかたはぜひためしてみてください。
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8月2日になりました!本日が本日が「英二の日」でございます~。
英二の日?ナニソレ。と思われた方はコチラをクリック。
この企画を始めてから管理人がこの記事をあげるまで(只今8/2の0時0分)なんと8422ちやほやしていただきました!(驚)
ま・・まさかこんなに(涙)ありがとうございます~~。

でも。皆さん。

本日が本番でございます!

今までは練習練習(←え?)
上手にちやほやできましたでしょうか?w
皆さまの練習の成果を発揮する日がやってきました。

さぁ。思う存分英二をちやほやしてやってください!
今までちやほやしすぎて疲れている貴女もそうでない貴女もとりあえずクリック!!

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i-eijiallmini.gif以下『英二の日。』ご賛同表明サイト様i-ashallmini.gif
(*順番は参加表明コメント等の入力時間順です。敬称略。今日も受付中。)

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※こちらの記事をご覧になった管理人様、私への連絡なしにひっそりとご参加もできます。当日駆け込み大歓迎!



i-eijiallmini.gif以下、当ブログの企画小説。i-ashallmini.gif
「英二の日まで6日前記念。」ちやほや小説その①7/27更新。
『-your kiss-』
マオ様(by臆病ライオン)のちやほや絵に乗っからせていただきました!要はマオ様の絵に萌えたワタクシが小説を送りつけたら公開をこころよく承諾してくださった。おやさしい・・・。本当にありがとうございました!マオ様の絵を見てから小説を読んでくださいね!(小説内にリンク貼らせていただいております。)7/27更新。

「英二の日までアト2、3日記念」ちやほや小説その②7/30更新。
『Recipes ある英二の一日。』
はー。なんかもう急いで書いたからあちこちボロだらけ。内容は英二の淡々とした日常?しかも英二がちやほやされてない。英二がよろこんでないし・・。全体的に地味な話です。そんなんでよかったら読んでやってください~。7/30更新。

「本日本番!英二の日!!」ちやほや小説その③8/1更新。
『Bright starry night キミが見せた星空』
本番とか言っても再録・・。他の企画で作って企画終了と同時に下げていた”英二お誕生日小説”。その節は皆さまありがとうございました。
あの企画にいただいたコメントはいまでも宝物でございます^^。
ちょっと落ち着いたカンジの内容です。それでもよかったら読んでやってください♪



なんか管理人がんばった。・・・・・よね?とりあえず。寝て仕事に行って帰ってきてから。あらためて英二をちやほやしに来る。

そうそうみなさん。英二の日に、イラストに小説にと色んな英二コンテンツを見て回って・・・・英二をちやほやするの忘れないでね~(笑)
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