Banana Recipes

漫画 BANANA FISH の2次創作ブログです。 BANANA FISH 好きの皆様と仲良くしていただければ嬉しいです♪一部BL・R18あります。ご注意を。

伊部の言うとおりに、カメラを操作し、英二は数枚の桜をカメラに収めた。

ーこれでいいのかなぁ。

正直自信がない。桜に限らず、見たとおりに撮ったと思った写真が、現像してみるとなんだこれは、と思うことがしばしばだ。
英二はこの間の伊部の言葉を思い出した。

桜を撮るというよりも・・・・

『感動を撮るんだよ。』
『・・はぁ・・。』

あの時英二は気のない返事をしてしまった。
そういえば伊部さんは美大出身だった・・。
体育大学所属の自分とは感性の質が違う。
『同じ桜をみても、俺の”きれい”と英ちゃんの”きれい”は違うだろ?桜自体は一緒なのに。見え方は人によって違うんだ。それは大なり小なり感動の違いなんだと俺は思うよ。その感動を撮ろうとせず、ただシャッターボタンを押すだけだと、ただの桜が写るのさ。』
だから英ちゃんの感動を撮れと伊部さんは言った。
『英ちゃんだけに見えている感動をね』

あの時、感動なんて見えないものの撮り方はわからないと思ったけど・・・。

英二はアッシュの元に戻ってきた。彼はいつの間にか桜の下で眠っている。
昨日は遅くまでパソコンを使っていたみたいだし、昼間はずっとどこかに出かけていた。疲れているのだろう。

それを早朝から走らせちゃったもんなぁ。

桜の花びらが、英二の親友の上に舞い降りる。
みごとなプラチナブロンドの髪の上に、みごとな薄紅色の花びらが・・。

きれいだ・・。

目を瞑って眠っているときのアッシュは本当に美しい。本人にそんな事を言えば、10倍の嫌味になって返ってくるだろうが・・。
英二は眠っているアッシュに向けてレンズを向けた。

いや起きていても本当にキレイなんだけど。あの減らず口さえなければなぁ。

角度を変えながら、シャッターを切っていく。ふと、英二は手を止めてアッシュをじっと見た。英二はアッシュが自分をどう思っているかなんとなくわかっている。
彼は以前英二とアッシュの住む世界が違うと言った。自分は人殺しだと、自分の住む世界は醜いのだと。そして英二には銃を持たせようとしない。英二を汚れさせないように、きれいなままでいさせるように・・。アッシュは英二をきれいなものとしてみているのだ。きれいで眩しいものとして。
アッシュの髪に落ちた花びらをそっと、指で払う。

ー君こそ、こんなにきれいなのに・・。

アッシュに言えば、そういう事ではないというだろう。外見がどんなに美しくても自分の手は赤い血でよごれていて汚いのだと。
アッシュが経験してきた世界が醜いとアッシュが言うならそうなのだろう。だが、イコール彼が醜いとは限らない。アッシュはそこから出たいと願っている。自分を支配しようとする手に落ちず、自分を陥れようとする闇に染まらず・・。必死で光を求めて手を伸ばしている。
そんな魂が汚いだなんて・・

きれいでないハズがない。

その美しさを写真に閉じ込めようともう一度ファインダーを覗く。

ー僕だけに見える感動・・・

幾度か角度を変え、露出を変え、被写体からの距離を調節する。英二は何枚目かのシャッターを切った。そのフィルムが最後の1枚だった。自動でフィルムが巻き上がる音が辺りに響く。

もし、僕がきみにとっての光であるのならば・・。

その時、小さな風が吹いた。英二は上を向く。たくさんの花びらが舞い落ちる。
アッシュの上に。英二の上に。



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アッシュが目を覚ますと、英二がまた桜を見上げていた。
英二は光の中にいる。眩しい。
なぜだかこの光景に見覚えがある。
光に溶けて降り注ぐ花びらに英二が攫われて行きそうに見えた。
アッシュは慌てて手を伸ばし、英二の手首をつかんだ。英二は驚いて振り向いて、そしてアッシュに微笑みかけた。
アッシュはこの笑顔を見ると心が暖かくなる。
「やっと起きたの?アッシュ?」
「寝てない・・。」
アッシュは憮然として答えた。
「へー。そうなんだー。」
英二はにやにやと笑っている。
アッシュは身を起こしながら、自分の上に積もった花びらを払う。
こんなところで寝てしまうなんて不覚だ。
英二が心配で追いかけておいて、英二を放っておいて眠ってしまうなんて・・。
「もう気がすんだだろ?帰るぞ。」
「そうだねアッシュの写真もいっぱい撮れたしね。」
1本全部君だけに使っちゃった。と、英二がフィルムを目の横で振りながら答えた。もちろんウソだ。
「・・おい。人が寝ている間にー」
「寝てないんじゃなかったの?」
フィルムを奪おうとしたアッシュの手を振り切り英二は笑顔で走り出した。
「英二!」
アッシュは英二を追って走り出した。英二は意外に足が早い。

いや。意外でもないのか。あいつは日本じゃ立派なアスリートだ。

今まで数々の修羅場を一緒に走ってきた。
遅れる仲間もいる中で、英二はアッシュに遅れをとらず並んで走った。

英二は振り向きながら笑顔で叫んだ。
「公園を出る前に捕まえたらフィルムをあげるよー。」

まったくアイツはバカじゃないのか?!
ホントに俺より年上なのかよ?!!

心の中で悪態をつきながらアッシュは英二を追いかける。
その顔は次第に笑顔に変わっていった。

その距離を縮めながら、また間を空けながら、2人は見えなくなっていく。

そうして、また風が吹き、2人のいなくなった桜の下に静かに花びらが降り積もる・・。








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最後までお付き合いしてくださって本当にありがとうございました!
今残暑なのに桜の話です。季節感ないー。9/8のつれづれにも書きましたがこの話は始めて書いた小説で、英二がアッシュに「ちょっと」黙って桜を見にいく話でしたが、「ちょっと」どころかこんなに長くなるとは・・。ただ2人がキャッキャウフフしてるシーンを書きたかっただけなのに・・。でも書くのがすごく楽しかったです。初めて書いた&長い分、皆様が読む分にはダレてしまうところもあったかと思いますが、読んでくださった方、本当に本当に最後までありがとうございました!
 

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すごく素敵なお話でした(そしてお疲れ様でした)!

外出できなくてストレスを感じる英二の為に、伊部さんに連絡するだなんて、アッシュ優しい~(笑)

二人のやりとりにクスッと笑ったり、英二を傍に置いて置きたいと思うアッシュの想いに切なくなったり、伊部さんの「まいっちゃうな」に笑わせていただいたり(←懐かしい…!)楽しく読ませて頂きました。

桜…アッシュも一緒に見てくれてよかった(涙)日本を感じてくれたかな…。

英二だけに見えた「感動」、私も見たくなりました。すごく綺麗だったでしょうね♪

長編小説、お疲れ様でした!

2012.09.17 11:36 URL | らぶばな #ozafj4PA [ 編集 ]

>らぶばな様

まぁ~。素敵な感想ありがとうございます!

そうそうアッシュは英二にはやさしいのです(笑)

>二人のやりとりにクスッと笑ったり、
ありがとうございます!2人のちょっとした会話を考えるのがすんごく好きなのです^^

>英二を傍に置いて置きたいと思うアッシュの想いに切なくなったり、
アッシュは英二に幸せを感じると同時に切ない思いも抱いてると思うのです。その2つの感情は紙一重ですよね。

>伊部さんの「まいっちゃうな」に笑わせていただいたり(←懐かしい…!)
分かってくださってありがだいです!(笑)
分からない方もいらっしゃるかな?と思ってたので。ほっとしました。


>楽しく読ませて頂きました。
なによりの感想ありがとうございます!


英二だけに見えた「感動」
それはもうすばらしくも美しいものだったのだと思います。
気持ちが通い合う2人だからこそしか見えない。みたいな。

本当に嬉しい感想をありがとうございました!

2012.09.17 13:44 URL | 小葉 #jneLG44g [ 編集 ]












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