Banana Recipes

漫画 BANANA FISH の2次創作ブログです。 BANANA FISH 好きの皆様と仲良くしていただければ嬉しいです♪一部BL・R18あります。ご注意を。

「なぁ。英二」

アッシュは寝室のドアを開けた。寝室の照明はすでに落とされており、ベッドサイドのナイトランプがぼんやりと部屋を照らしているだけだった。

時刻は0時を回っていた。

ドアを開けたアッシュの瞳はベッドの上で眠ろうとしている英二を捕らえる。彼はシャワーを浴びてパジャマに着替えてベッドに入ったばかりの様子で、ベッドに座ってはいたが今まさに横になろうと上掛けを持ち上げたところだった。

「なんだい?アッシュ」

アッシュは英二のいるベッドへと歩いていく。小柄で黒髪の彼はアッシュが近づくにつれてその黒瞳でアッシュを追った。アッシュはベッドサイドに立って彼を見下ろす。英二の瞳はひどく眠そうだ。
二人は今日、このアパートメントに引っ越してきたばかりだ。アッシュが英二に引越しの日取りを話したのは、ほんの10日前だった。そこから二人は慌しく引越しの準備をして今日ここへ越してきたのだ。英二も疲れているのだろう。
彼がアメリカに来たときから二人は一緒に住んでいた。多数の犯罪歴のあるアッシュは、何度も住居を変えたが、そのたびに彼もついてきた。今回の引越しは何度目になるだろうか。引越しの度に、お前はついてくるな、と言うのだがこの強情な恋人は必ずアッシュについてくるのだ。

アッシュは、ぎしりとベッドの端に腰かけた。そして今にも降りてしまいそうな瞼に包まれた黒い瞳を覗き込む。

「お前、今日、なんの日だったか覚えているか?」

正確には昨日だ。時計の針は0時を過ぎたのだから。アッシュはしばらく英二を見つめた。最初何を言われているかわからないといった英二の瞳が何かに気付き、その後、驚きで大きく見開かれた。

8月12日はアッシュの誕生日だった。

驚いて言葉が出ない英二の反応がおかしくて、アッシュは白々しい声を出した。
「ああ。もう昨日になるのか」
大きく開かれた英二の瞼は後悔により少し伏せられる。
「ごめんよ……」
そうして彼は悔しそうに唇を噛んだ。

そんな彼の頬にアッシュはゆっくりと手を伸ばす。親指だけで彼の唇を優しくなでた。
「かまわないさ」
本当にかまわなかった。アッシュは自分の誕生日にさして興味がない。だがそんな自分をどう思ったのか、この黒髪の恋人は毎年アッシュの誕生日を静かに祝ってくれた。それは、友人を呼んで派手に誕生日パーティーを開くわけでもなかった。高価な誕生日プレゼントが準備されているわけでもなかった。ただ、手は込んでいないが、アッシュの好物が並ぶ暖かい食事と、いつもより少し程度のいいアルコール。そして、心のこもった祝いの言葉が毎年必ず用意されていたのだ。

だが、今年はどうやら違うらしい。本気で英二は忘れていたようだ。アッシュはそれが気になった。

―― こいつらしくないな。

しかし、アッシュは片頬で笑う。この機会にアッシュは英二にしてやりたいことがあった。英二が自分の誕生日を忘れてしまって後悔しているなら好都合だ。

「気にすんなよ。でも」

頬に当てた手で少し彼の頭を傾けさせて耳元に唇を寄せた。

「プレゼント、くれんだろ?」

その耳の中へと吐息を吐きながら囁き、耳元に小さな音を立ててキスをした。頬に当てた手はそのままに少し身を離す。そして目を細めて薄く微笑みながら英二を眺めた。自分の言葉とその態度に、彼の瞼がまた少し見開かれ、その黒瞳がナイトスタンドの暗い光を小さく反射した。

「……うん」

英二はそう答え、アッシュの肩に両手を回した。

「誕生日おめでとう」

そうして英二は自らアッシュにキスをする。
英二の舌がアッシュの唇から侵入し、歯列の裏をなぞる。アッシュはしばらく英二の好きにさせていた。だが次第に英二のキスに応じて主導権を取っていく。幾度かのキスの合間に彼のパジャマのボタンを全て外していった。

「ん」

英二の鼻から小さな声が出たのを合図に、アッシュの手が英二の背に回り、彼を支えながらベッドに仰向きにさせた。英二の足の間に割り込み、自分の恋人を見下ろす。

「Thank you.」

そう言って意味ありげに微笑んだアッシュの頬に英二の掌が伸ばされた。アッシュはその手首を掴んで英二の掌に唇を寄せた。そうして、そこをチロリと嘗めて、そのまま彼の手首から腕の内側を通り、胸に至るまでをゆっくりと嘗め下ろしていった。






✳︎






「あ……アッシュ……もう」


英二の声が快感で震えていた。


「『もう』なんだ?」

アッシュは意地悪く英二に問い返す。
英二の言いたいことはわかっていた。だが、アッシュは英二の願いを聞いてやらず、彼の胸へ愛撫を続ける。
前戯が長い。と以前、事が終わった後に、英二に苦言されたことがある。
普段その手の会話をしない英二が言ったのだから、よっぽどのことだろう。
その時、気持ちよくないか?と聞いた自分に、英二は目をそらしながら、気持いいけどよすぎて困る、と答えた。

アッシュは普段、英二の身体が快感で溶けるような感覚に包まれるまで決して繋がろうとはしなかった。

だが今日はアッシュから見ても充分に英二の身体は快感に溶けている。
いつもなら、そろそろ解放してやる頃合だ。

アッシュの手が、英二の胸から外れて脇腹を伝う。

英二が期待に息を吐く音が聞こえた。

そして英二の腰を通り過ぎ、太ももまで到達したアッシュの手は、そのまま内股をなぞり上げ、英二自身を触―― るそぶりをみせたが、そこには触れずに足の付け根ギリギリの所を辿って、大事な部分を避けて、そのまま英二の胸へとまた上がった。

「アッ……シュ」

英二に呼ばれアッシュは彼を見た。
乱雑に額にかかるプラチナブロンドの前髪をゆらして、その隙間から翡翠の瞳をチラつかせながらアッシュは笑う。

アッシュはわざとそうしていた。

今夜はもう何度も同じように英二を焦らしていた。今度こそは、と思うところで、アッシュは決して英二自身には触れないのだ。

そして、アッシュのなめらかな舌と指が英二の胸への愛撫を再開する。今度は先ほどと舌を使う場所が左右逆だった。英二は身をよじり、焦れったい快感に背筋を仰け反らせる。

黒髪の彼はその頭を少し振って、耐え切れずに幾度も小さな声を上げた。

アッシュが今日こんなに意地が悪い理由に英二は気付いているだろうか?
誕生日を忘れていた事などまったく関係ない。アッシュはこの機会を以前から狙っていたのだ。その理由とは……。

アッシュは数ヶ月前、英二に激しく抱かれたのだ。

それはいつもの優しげな彼からは想像もつかない激しさだった。

数ヶ月前にアッシュは、こことは違うアパートメントを契約した。それは明らかに一人暮らし用の小さな部屋で、とても大人二人が住めるようなものではなかった。
ここ数年の英二は、写真の仕事が軌道に乗るにしたがって、段々と忙しくなってきた。彼にはもともと写真のセンスがあったのだろう、そして持ち前の努力もあるのだろう。彼の仕事が世間に評価されはじめ、数冊出版した写真集も全てが好評だった。そしてとある雑誌から賞を受賞するまでとなった。その雑誌はNYを拠点とする会社のものだったが、世界中にいくつもの現地支店があり、その雑誌で賞をとるということは世界の写真業界において、そこそこの知名度が得られるということでもあった。
ちょうどいい機会だとアッシュは思った。
常からアッシュは思っていた。いつまでも英二と暮らしていけるわけではないのだと。
自分には犯罪暦がある。警察の記録ではアッシュは死亡したことにはなっていた。だが、いつどこから、彼が生きていることがバレるかもしれない。その時、自分は英二の成功の足をひっぱることになるだろう。
そうしてアッシュは、英二に今回は自分一人で引っ越すことを伝えた。
それを聞いた英二は―― あれはつまりはキレたんだと思う。
アッシュはあんなに怒った英二を初めて見た。
普段の英二からでは想像もできない厳しい眼差しでアッシュの瞳をとらえ、彼は必死にアッシュを搔き口説いた。
英二がどれほどアッシュの傍にいたいと思っているかを説明し、どんなことをしてもアッシュについていくと言い放ち、そしてアッシュに尋ねた。

『きみはぼくと本気で離れられるのかい?』

―― お前と?

アッシュは目の前の英二に意識を戻す。アッシュが少し考えに気をとられているうちに、気付けば英二もまた何かを考えているようだった。アッシュは眉を顰めた。
いつもならとっくに何も考えられなくなっているはずなのに。
アッシュはここ数日感じていた違和感を今またここで感じた。最近よく、ふと気付けば英二の心がここにあらずといった表情になっていることが多かった。何かが彼にあったのだろうか。自分には言えない何かが。
とにかく、自分は英二が快感で何も考えられなくなるまで繋がりたくはない。男同士の不自然な性交渉で起りうる、少しの痛みも英二には感じてほしくはなかった。
数ヶ月前の仕返しとして英二をいやという程鳴かせている今であっても。

「英二?何考えてる?」

英二がアッシュに気を向ける。他の事に気をとられていてはこの快感が終わらないことを知っている英二が、上手い言い訳の言葉を口にした。

「きみ……のこと」

アッシュは片頬だけで笑った。そして、今度は唇で英二の体の横ラインを柔らかく撫で下ろしていく。

「オニィチャンも上手くなったな」

アッシュの小さく開いたままの唇と舌がゆっくりと、英二の脇腹を伝い、彼の腰まで到達し、そこを通り越し、アッシュによって持ち上げられた内股の柔らかい部分にそれを回りこませた時、英二の足が震えた。

「そんな……嘘じゃ……あぁ」

アッシュの舌が、とうとう英二の中心を根元から舐め上げた。だがそれをすぐに逸らし、またその唇で胸の頂きへと戻り、その一つを甘噛みした。

「……アッシュ。も……ほんと……に」

切れ切れになっている息の合間から英二はアッシュに懇願する。
だが、胸のそれの一つをアッシュの舌が、もう一つをアッシュの指が、撫で、転がし、歯を立て、嘗め上げる。
英二の胸からはしびれるような快感が広がっているだろう。だがそれは彼の下半身には充分ではないはずだ。英二は無意識のうちにもどかしい快感を解消しようと、自らの腰をアッシュの腰に擦り付けた。

アッシュが引き起こす快感で、英二の頭の中がいっぱいになったのを見下ろし、アッシュは満足する。

―― そろそろ……いや、まだ……。

アッシュはまた、あの時の英二を思い出していた。あの時は本当に驚いたのだ。自分を力強く抱く彼に、これが英二なのかと何度も彼を確認した。

『きみはぼくと本気で離れられるのかい?』

自分から言い出したことだ。
離れて暮らそうと。

だが、英二に強く抱きしめられて、その手を、おれは……。

ふと気づいて顔を上げると、英二がその濡れた黒瞳で自分を見つめていた。

「英二?」

潤んでいる彼の瞳はとても美しいと思う。自分は彼に出会うまで黒という色があまり好きではなかった。それは夜を連想させるからだ。幼い頃からアッシュにとって夜は一番つらい時間だった。
だが、英二に出会ってからは……。
何か言いたげな彼に、アッシュの手が止まる。

「……ほんとに……きみと引っ越……せて……あり……がとう」

アッシュの片眉が上がる。
そしてゆっくりと身を起こして前髪をかき上げながら、ため息をついた。

―― こいつは今、何されてるかわかってんのか?

アッシュは、英二の足の間で膝をつき、起き上がったまま、サイドボードの引き出しに手を伸ばした。取り出したチューブからローションを手に出し、それを温めるように両手を揉みながら英二を見下ろす。

『きみはぼくと本気で離れられるのかい?』

本気で離れられるわけがない。だが、英二と離れたほうが彼のためだ。
自分の理性と願望の狭間で苦労して絞り出した決心を、ふとした英二の一言が打ち砕く。アッシュは半分本気で英二を憎々しく思い、呟いた。

「お前、ほんとずりぃよな」

あの時は結局英二を手放せなかった。おそらくこれからも彼を手放すのは難しいだろう。だが――

そして、アッシュはそのまま英二に覆いかぶさり、彼の唇に唇を寄せた。

アッシュの舌が英二の歯列をグルリと這う。そして彼の舌を絡めながら口蓋の弱いところを侵しはじめた。その間もアッシュは片手で英二の体の感じるところを絶え間なく撫でていく。さきほど手につけたローションのおかげで今までより動きが滑らかになっていた。

英二の鼻から切れ切れの甘い音が出続ける。

キスと愛撫で彼を翻弄しながらその瞳を見ると、英二もまたこちらを見ていた。

―― めずらしい。

事の最中は快感に目を閉じてしまうことが多い英二だが、そういえば今日は目を瞑った英二を見ていないような気がする。まるでアッシュから目を離すと何かが起ってしまうようかのようだ。

そしてキスと愛撫で英二の注意を惹いているうちにアッシュはローションを足し、彼の脚の間に指を伸ばした。すでにいきりたっている英二自身をあやすように数回なで上げる。人差し指でその先端をくすぐると英二がまた声をあげた。

ローションに濡れたアッシュの指が、英二の後ろのそれを何度か柔らかく揉む。そしてそれを少しずつ挿入していく。ゆっくりとそこを解すように抜き差しする。少しひやりとした液体の感触は、自分の指と英二の内壁の体温ですぐに違和感がなくなるはずだ。アッシュは自分の指を、一本、そして二本と増やしていった。時に英二の中のいいところを突いて、彼に高い声を上げさせながら。

「痛いか?」

アッシュは英二に問う。男同士のこういった行為で痛みを伴なわないことはない。だが自分は英二にはどんな痛みも感じて欲しくはなかった。矛盾しているのはわかっている。だが、できるだけ彼には快感だけを感じて欲しかった。

アッシュの質問に英二が首を振った。
「早く」
そして彼は潤む黒瞳でアッシュの翡翠の瞳を見つめた。
「早くきみと……」

英二がアッシュに手を伸ばしながら唇だけで呟く。
きみを愛してる。
そう英二の唇が動いたのをアッシュの目がとらえた。
そしてアッシュは彼の瞳を見た。彼のアッシュに対する思いが、彼の瞳から溢れるように、そこから何かが流れ出る。
…… きみだけを。
快感で閉じてしまいそうになる瞳を、彼は必死に閉じまいとしているようだった。

どうしてだ。どうしてお前はそんな目でおれを見るんだ。お前だけだ。お前だけが――

アッシュは、短く悪態をつき、英二の中から指を引き抜き、英二の膝を大きく割る。
「あ……」
自分自身を英二の中に埋める。彼に覆いかぶさってその腰を一度突いた。英二の背が跳ねる。それによって二人の間にできた隙間を狭めようと、英二がアッシュの背中に手を回した。
それからなるべくゆっくりと彼の腰に抜き差しを繰り返した。そして、徐々に力を増していきながら、英二の最奥の気持いいところを何度も突き上げた。英二がアッシュにしがみつく。

二人で快感の高みへと上がっていった。

アッシュは手を英二の前へと回し、根元からきつく扱いた。英二が堪らずに声を出す。


「っアッ……シュ、」


英二がアッシュの名前を呼んだ。
と同時に世界のあらゆる音が止り、二人は達した。
お互いの息遣いだけが静かな部屋の壁に響く。

「英二?」

だがしばらくたっても英二はアッシュにしがみついたまま腕を離そうとはしない。

手を離すと、まるで自分が英二を置いてだまってどこかへ行くとでも思っているかのようだった。

確かに一人で引っ越すとの話を持ち出した後数週間は、英二は彼の仕事中にアッシュがどこかに行ってしまわないかと気が気ではなかったようだ。しかし、思いのほか部屋探しに時間をとられて、引越しまで数ヶ月が経つうちに、英二の気持も落ち着いてきたような気がしていたのだが……。
ここ数日。引越しを言い渡してから10日間、彼の様子がどうもおかしかった。またあの時の事を思い出したのだろうか。だが、それとはまた何か違うような気がした。どちらかというと何か他のことに気をとられて気付けばぼぅっとしているようだった。だが英二は自分がそうであるという意識はないようで、さりげなく彼に問うても首を傾げるばかりだった。

「英二」

もう一度呼んで見たが反応がない。どうやら英二は最後に意識を飛ばしてしまって、そのまま眠ってしまったようだ。
そういや昨日は頭痛がすると言っていた。やりすぎたか……。

アッシュは英二の腕をそっとほどいた。そしてそのまま彼の腕に、首に、頬に、さらには額に、音を立てながら小さなキスを何度も何度も落としていく。

アッシュは思う。今回は彼と一緒に引越したが、自分はこれからも何度も自分に問うだろう。

自分が彼のそばにいても彼の不利益にならないか。
自分が離れたほうが彼のためになるのではないだろうか。と。

なぁ英二。おれはお前のそばにいてもいいんだろうか。

口に出したつもりはないのだが、その時英二の瞳がうっすらと開いて、アッシュの瞳をとらえた。

「……馬鹿だなきみは……きみがどこに行ってもぼくは、何度でも……」

そうして、英二がまたその瞳を閉じる。

アッシュはそんな英二を黙って見つめ続けた。

そして英二を起こさないよう、静かにその腕の中に英二を抱き込み、その肩に自らの顔を埋めて瞳を閉じた。



英二のやわらなか体温を感じながら、アッシュは静かな眠りの中に落ちていった。



-fin.
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