Banana Recipes

漫画 BANANA FISH の2次創作ブログです。 BANANA FISH 好きの皆様と仲良くしていただければ嬉しいです♪一部BL・R18あります。ご注意を。

act1. Max appeared with it.

それは突然やってきた。

感謝祭も終わり1週間が過ぎたころー

12月に入ったばかりのNYはすっかり冬の様子を態していた。アッパーイーストに位置するこのアパートメントの最上階からはセントラルパークを望むことができる。11月に入った頃には錦の紅葉に彩られニューヨーカーの目を楽しませていたそれらの木々も、11月も終わった今ではほぼ全てが落葉しており木肌が現れ寂しい限りだ。街中ではマンハッタンに吹くビル風が、通りを行きかう人々の体を芯まで冷やす。
しかし、この高級アパートメントのセントラルヒーティングは室内の温度を快適に保ち、屋内では薄着でいても外界の温度を感じさせることがない。

その日の昼下がり、玄関ドアのベルに呼ばれた英二はソファで読んでいた漫画を置いて立ち上がり玄関へと向かった。ドアの覗き穴を覗き、外を確認する。
そこにいるのはマックスだった。
英二は玄関の鍵を外して彼の為にドアを開ける。

「いよー。英二!久しぶりだなぁ。」

だが、開いたドアからはマックスより先に見知らぬ作業服姿の男2人が入って来た。その2人で大荷物を抱えている。

その荷物はネットで巻かれた緑色の長い物体だ。太さの割にはそんなに重くはなさそうだ。しかしそれは、エレベーターでは運べそうにないほど長い。
階段で上ってきたのだろうか?12階を?

突然の事に英二は声がでない。

そんな英二を置き去りに、マックスがその男達と荷物を誘導している。あれよあれよという間に男2人はリビングの真ん中にその荷物を立てた。そしてネットを外すと緑の傘と爽やかな香りが室内に広がる。マックスが男2人にチップを払うと男達は礼を言って出て行った。

ーこれは・・。

「オッサン。なにしてやがる。」
2人の後ろから声がかかる。
アッシュだ。
騒動を聞きつけてパソコンをしていた部屋からでてきたアッシュは、知らぬ間に壁にもたれて腕を組んでいた。その低い声は明らかに彼の不機嫌さを物語っている。

それは青々とした生木のクリスマスツリーだった。英二は家の中でこんな大きなツリーを見たことがない。 3mはあるだろうか?このペントハウスの天井は他の部屋より高いはずだ。だがそれは、その天井に届こうかというくらいの高さだ。

アッシュの不機嫌など物ともせず、マックスが陽気に話し出す。
「いやー。一度これくらいのツリーを家のど真ん中にでーんとおいて見るのが夢だったんだ。俺の家の。」
「オッサンの夢なんて知らねぇ。ここはアンタの家でもねぇ。」
「契約書にサインしたのはオレだ。」
「偽名でな。」
そこに英二が口を挟む。
「でもツリーの飾りがないよ?」
マックスが英二に向けて肩をすくめた。
「なんだよ。飾りもないのかよシケた家だな。」
「オッサンの家なんだろ?」
「へへ。そうだ。俺の家だ。飾りがないのは知ってたさ。もうすぐ・・」

その時またドアのベルが鳴った。

「誰だろ?」

英二がドアへ向かおうとしたのをマックスが止めてドアへと向かった。何やらその来訪者と話している。そしてリビングに戻ってきたマックスが手に持っていたのは大きい箱。どうやら宅配業者から何かを受け取ったようだ。
その箱のあて先はここの住所と「 Maximilian Winston」。マックスの字で書かれている。どこからか自分の偽名宛に送ったのだろう。

「オッサン・・勝手なことすんなよ。」
マックスはその箱をリビングのテーブルに置き、開けはじめた。
「うわぁ・・」
英二が中身を覗いて感嘆の声を上げる。その中には色とりどりのクリスマスツリーの飾りが入っていた。
「キレイだろ?俺が選んでやったんだぜ。」
誰も頼んでいないのに、鼻から満足げな息を出してマックスは得意げに言った。
アッシュは微妙な顔つきだ。
「誰が飾るんだよ。これ。」
「お前と英二だ。」
「なんだそれ。」
不思議に思った英二が質問する。
「マックスは?」
「俺か?Mr.ウィンストンは銀行の頭取業が忙しくてそれどころじゃないのさ。年末は掻き入れ時でね。」
「売れないライターに年末なんか関係あんのかよ。」
アッシュの嫌味を物ともせず、マックスはリビングのドアへと向かう。本当に飾り付ける気がないようだ。
彼は開かれたドアの先で振り返って手を軽く上げる。
「それじゃ。また見に来るから頼んどくぜ。がんばれよ。マイ・サン」
そうしてマックスは去っていったのだ。


そして今、2人はツリーの飾り付けをしていた。英二は楽しそうに、アッシュはいかにも嫌々だ。
まず始めに2人で協力してああでもないこうでもないと、電飾とモールをツリーに巻きつけた。そして今、オーナメントに取り掛かっている。

「ツリーの飾り付けかぁ。小さい頃は楽しかったなぁ。」
英二は赤く光るボールを手に取り懐かしそうに微笑んでいた。
「お前、キリスト教徒じゃねぇだろ?こんなことやっていいのか?」
「日本の神様は寛容でね。大抵の事は許してくれるのさ。」
「そんなもんか?」
「そんなもんさ。」



act2. " Will you put this star on the top of a Christmas tree ? please."

日本でもツリーを飾ってたのか?と聞くアッシュに英二は子供の頃の話を話し始めた。

なんでも彼が物心ついた頃、英二の家にはツリーがなかったらしい。友達の家でツリーを見た英二はその輝く飾り付けに心を奪われた。そして両親に買って欲しいとせがむ。しかし買ってもらえなかったようだ。

ーでもね。

と英二は顔をしかめて話を続ける。

「僕がいくらツリーが欲しいと何年ねだっても買ってくれなかった父が、妹が少し大きくなって泣いてワガママを言って『欲しい』と言ったらすんなり買ってくれてね。僕はすっかりおかんむりでー」

妹が泣いた次の週末。父は早速フェイクのツリーセットを買ってきた。
母と妹が楽しそうにツリーの飾りつけをしている横で、英二は一人コタツでずっと黙ってテレビを見ていた。
何度か2人に誘われるが、英二は返事をしない。
いつもやさしい兄が不機嫌なのを気にしてか、妹はチラチラと英二を見る。



アッシュはツリーに飾りつけをしている手を止めることなく、昔話をする英二に口を挟んだ。
「ガキだな。」
だが、アッシュには心当たりがある。英二は普段やさしく微笑んでいることが多い分、本気でヘソを曲げると周りの雰囲気まで微妙にさせるのだ。妹も気が気ではなかったろう。
「そう。僕はガキだったんだ。だって10歳にもなってなかったしね。でもあいつは僕の機嫌の取りかたを知っていてー。」

母と妹の飾りつけはほぼ全てが終わり、後一つを残すのみとなった。

父の買ってきたクリスマスツリーは当時の英二の身長程の高さがあった。
最後のオーナメントは彼女の手には届かないが、英二には届く高い箇所に飾るものだ。ーもちろん母の手にも届くのだが・・。

妹はそれを持って、仏頂面の兄の元へと駆け寄ってきた。そして、英二の膝の上ーのコタツの布団の上ーに軽く乗り上げ、兄と同じ黒い瞳で彼を見上げてこう言った。

「『お兄ちゃん。一番上のお星様を乗せて。』」


アッシュは小さく吹きだした。
「上手いな。」
「だろ?母に言われてきたんだろうけど、兄として悪い気はしなくてね。」
そして機嫌の良くなった英二は『しかたないなぁ。』と言って、”妹の為”に一番上の星を”つけてやった”のだ。

その年以来一番上の星をつけるのは英二の仕事となった。

「よく出来た妹だ。」
「全くね。僕もなんやかんやで妹には勝てないのさ。君はどうだったんだ?」
「俺?俺に妹なんかいないさ。」
「違うよ。君ん家はどんなクリスマスツリーだったんだい?」

俺の家ー?

アッシュは故郷の家へと想いを馳せる。
田舎くさくて、海が近くて、家の裏の草むらはいつも強い風が吹いていた。冬は氷点下になるほど寒いが、家の中はとても暖かだった。兄がまだ自分のそばにいたクリスマスー。





act3. " Griffin! I wanna put a star on the top "

『おにいちゃん。いちばんうえのお星さまは、ぼくがのせるのー』

アッシュはグリフィンにそうねだった。
おそらく4才のクリスマスだろう。それ以降のクリスマスには兄はケープコッドにいなかった。それ以前の記憶は幼すぎてアッシュにはない。


昨日の夜、夜更けに寝付いたアッシュは昼前にやっと目が覚めた。寝ぼけ眼で2階の寝室から階段を降りて行く。その小さな頭に乗っている艶やかに輝く蜂蜜のようなプラチブロンドの髪は寝癖であらぬ方向へと曲がっていた。ステップを降りるごとにその寝癖もまた跳ねる。1階に降りキッチンに向かおうとすると、居間から兄の呼ぶ声がした。アッシュは居間の扉を開ける。すると、部屋の窓際に置かれたばかりの大きなもみの木が目に飛び込んできた。アッシュの眠気は吹き飛ぶ。昨晩、これが今日の朝やってくると聞いた彼は興奮してなかなか眠れなかったのだ。

一気に目の覚めたアッシュがその木に駆け寄ると生木独特の香りがした。
その木はアッシュの2倍以上もあり、木の下に立つとその一番上の部分が彼には見えないほどだ。

「今日は飾り付けをしようか。アスラン。」

もみの木の傍に立っていたグリフィンがアッシュにウィンクする。兄はいつも何か楽しいことを提案する時にアッシュに向けてそうするのだ。
アッシュはもみの木の大きさに驚いてあんぐりと口を開けてツリーを見上げていたが、その顔が途端に笑顔になる。
兄はそんなアッシュに微笑んだ。
「ただし朝ごはんを先に食べ終わってからね。」
アッシュは飛び上がってキッチンへと走り、すでに用意されていたパンと卵と牛乳を頬張った。

2階の物置と化している部屋では兄がクローゼットを開けて何やら探し始めているようだ。

急いで食事を済ませたアッシュがその部屋へと階段を駆け上がる。

兄が開けているクローゼットは普段は滅多に開けないところだった。
だがアッシュはそこに何が入っているか知っている。

以前兄が学校に行っている間に、家の中を探検したのだ。その時、全ての扉という扉、全ての引き出しという引き出しを開けては中を見た。おかげで何がどこにあるかは兄のグリフィンよりよく知っていた。

「あれ?どこに置いたか・・。」とつぶやく兄に向かってアッシュは声を上げる。
「もっと右だよ!一番上の!白い箱!」

探検中、手の届く範囲はすべて中身を確認し尽くした。そうするとアッシュは今度は手の届かない場所にある箱が気になり始める。家の中で一番高い椅子をクローゼットの前まで引きずり、座面にお菓子の缶を置いてのその上に乗り、さらに背伸びをしてやっと届いたー結果アッシュは箱を掴めたがバランスを崩して床に落ちたーアッシュがグリフィンに示したのはその白い箱だった。
だが背の高いグリフィンは軽々と一番上の棚からアッシュに示された箱を取り出す。

そして埃っぽい床に箱を置いて、蓋に薄く積もった埃を手で払いその箱を開けた。

わぁ・・・。

その中身はツリーの飾りだった。
色とりどりにキラキラ光るボール、モール、星の形をしたオーナメント。そして電飾。

前回この箱と一緒に引っくり返ったアッシュは床に中身をブチまけた。だがその綺麗さに痛さも忘れた程だった。綺麗に並べて箱に戻したつもりだが兄は気づいただろうか?

一度は見たはずの輝きはまるで色あせておらず、そのキラキラ度合いと同じくらい、それらを眺めるアッシュの見開かれた翡翠の目もキラキラ光る。

全部飾るの?!と尋ねるアッシュに、まだまだあるよと兄は棚の上からもう一つ青い箱も取り出す。

でもその箱はー

アッシュは白い箱からオーナメントを取り出しクルリと兄に背を向けた。真剣にそれを見ているフリをする。

兄が今手に持っている青い箱の中身もアッシュは知っていた。あの中にもたくさんのオーナメントがある。天使の形をしたものやサンタの絵、金色のベルや紅白のキャンディケーン等、そちらの箱は人形等が多く入っている。
その中に一つだけ小さな写真の入った額縁のオーナメントがあった。
写真に映っているのは仲のよさそうな家族。父と幼い兄、そしてアッシュの知らない女性。その女性は兄の机の奥にひっそりとあった写真にも写っていた。なんとなくアッシュはその写真について質問しない方がいい事がわかっている。

アッシュは青い箱を開けた兄がそのオーナメントをこっそりポケットに入れるのを横目で見た。



続く
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